<円安対策の最新事情>備えた資産を守りつつ増やすなら仮想通貨が最適な理由
時田秀一(本誌ライター)
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2025年秋、円安が止まらない。1ドル=150円台を突破した今(10月23日現在1ドル152.5円)、家計や企業の経済活動にまで影響が及び始めている。
その背景には、アメリカの金利政策の長期化と日本の金融緩和維持という「構造的な差」があるが、もう一つ注目すべきは、高市早苗総理の発言だ。高市氏は自民党総裁就任後のテレビ東京番組で、「行き過ぎた円安を誘発するつもりはない」と発言しつつも、輸出企業のメリットと負の側面の両方に言及した。(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-09/T3V8NTGOYMTD00)円安は輸出企業にとっては追い風だが、一般家庭にとっては生活コストの上昇という形で跳ね返る。「企業が潤っても個人が苦しむ」構図が鮮明だ。
こうした時流の中で求められているのは、円だけに依存しない新しい資産防衛の考え方である。為替リスクを分散し、円安局面でも資産を守るための選択肢として注目されているのが「仮想通貨」だ。円安という波にただ流されるのではなく、自分の資産を自分で守る選択を始める時が来ている。
<日本円だけに頼るリスク──「通貨も投資対象」という現実>
資産の多くを日本円で保有しているということは、言い換えれば「日本円という通貨そのものに投資している」のと同じ意味を持つ。普段あまり意識されないが、通貨もまた「価値が変動する投資対象」であり、為替相場の変動によってその価値は日々上下している。
日本円の購買力はこの数年で確実に低下しており、2020年10月の終値は1ドル104円だったが、2025年10月現在は1ドル151円程度であり、日本円だけで資産を持っていた場合、その価値(ドル建て)は約30%も目減りしていることになる。たとえば1,000万円を日本円で持っていたとしても、実質的な購買力は約750万円分に相当する計算だ。インフレと円安のダブルパンチによって、私たちの資産は“静かに”減り続けている。
この目減りリスクを回避しつつ、将来的に資産を増やしていくために有効なのが、ポートフォリオに仮想通貨を組み入れることである。

第一の理由は、仮想通貨が特定の国や中央銀行に依存しない「グローバル資産」である点だ。ビットコインやイーサリアムといった主要な仮想通貨は、発行主体が存在せず、世界中の市場で24時間取引されている。そのため、円やドルのように一国の金融政策に左右されることがなく、通貨分散の観点からも有効なリスクヘッジとなる。
第二の理由は、仮想通貨市場が今もなお成長を続けている拡大市場であるという点。米CoinDeskの最新レポート(2025年10月)によれば、ビットコイン価格は10月に史上最高値の1BTC=1,890万円台を記録した。これは前年同月と比較するとおよそ1.8倍にあたる。
さらに、仮想通貨は単に「保有する」だけではなく、ステーキングやレンディングといった仕組みを活用することで、資産を「運用しながら増やす」ことが可能である。ステーキングとは、保有する仮想通貨をブロックチェーン上のネットワーク運営に預け、その貢献度に応じて報酬を仮想通貨で得る仕組みである。
一方、レンディングは自分の仮想通貨を取引所などを通じて他者に貸し出し、その賃借料を受け取る仕組みだ。これらを上手に活用することで、値上がり益だけでなく「運用益」を同時に得ることができる。
ステーキングやレンディングの条件は取引所によって大きく異なるため、年率やロックアップ期間、対象銘柄数などを比較し選ぶ必要がある。加えて、信頼性と利便性の両面で優れた取引所を選ぶことが何より重要だ。本記事では、これらの条件を国内主要取引所で比較し、最も好条件で始められる環境を検証していく。
<取引所を決めるときに見るべきポイント①──ステーキングの条件の良さ>
仮想通貨を「保有するだけで増やす」方法としてステーキングが注目を集めている。ステーキングは、暗号資産をブロックチェーン上に一定期間預けることで報酬を得る仕組みで、銀行の定期預金に近い。銀行ではお金(円)を預けて利息を受け取るが、ステーキングでは暗号資産を預け、その通貨自体を報酬として受け取る。
また、ステーキングの条件は取引所ごとに大きく異なる。利便性やリスク管理の観点からも、どの取引所で運用するかがリターンを左右する重要なポイントである。特に注目すべきは、①ロックアップ期間の有無と、②対応銘柄数だ。ロックアップ期間中は資産を売買できず、暴落時に損切りできないほか、急騰時に利益確定ができないという機会損失のリスクがある。したがって、短期的な価格変動にも対応したい投資家は、ロックアップ期間のない取引所を選ぶべきだ。また、銘柄数が多い取引所ほど分散投資がしやすく、特定通貨の価格変動リスクを抑えながら安定的に運用できる。
以下は主要5社の比較である。
<主要5社比較>
[SBI VCトレード]銘柄数:14、ロックアップ期間:なし、申込み要否:不要(対象銘柄を保有していればOK)
[GMOコイン]銘柄数:7、ロックアップ期間:なし、申込み要否:不要(対象銘柄を保有していればOK)
[BitFlyer]銘柄数:1、ロックアップ期間:なし、申込み要否:不要(対象銘柄を保有していればOK)
[CoinCheck]銘柄数:1、ロックアップ期間:あり、申込み要否:必要
[Bitbank]ステーキングサービスなし
上記の比較からも明らかなように、SBI VCトレードは銘柄数・利便性の両面で優位に立っている。14銘柄に対応し、ロックアップ期間もないため、資産を拘束されず柔軟に運用できる。他社ではステーキングサービスがあるところでも1銘柄のみであったり、最大でも7銘柄とSBI VCトレードの半分以下である。また、ロックアップ期間がある取引所もあり、相場が急変した際に身動きが取りづらいというリスクを伴うため注意が必要だ。
<取引所を決めるときに見るべきポイント②──レンディングの年率>
仮想通貨をより効率的に増やしたい人に注目されているのが「レンディング(貸暗号資産)」サービスである。レンディングとは、自分が保有している仮想通貨を取引所や企業に一定期間貸し出し、その賃借料として報酬を得る仕組みのこと。銀行の定期預金に対して利息を受け取るのと似ているが、レンディングの場合は貸出先が取引所であり、受け取るのは法定通貨ではなく仮想通貨そのものだ。
ただ保有しているよりもはるかに効率的に資産を増やすことができる点が魅力である。しかし、レンディングの年率(利回り)は取引所によって大きく異なる。国内主要5社を比較すると、その差は歴然だ。
<主要5社比較>
[SBI VCトレード]最大年率20%
[CoinCheck]最大年率5%
[bitbank]最大年率5%
[GMOコイン]最大年率10%
[BitFlyer]最大年率3.05%
こうして見てみると、SBI VCトレードの高い利回りが際立っている。他社の2倍から最大6倍以上という数字は、レンディングを活用した資産形成において極めて大きな差を生む。たとえば同じ100万円相当の仮想通貨を預けた場合、年率20%なら単純計算で年間20万円の報酬が得られるのに対し、年率5%の取引所ではわずか5万円にとどまる。この違いが複利で積み重なれば、長期的な運用成果は何倍にも開くことになる。
また、SBI VCトレードは大手金融グループならではの信頼性と透明性を備えており、多くの取引所がベンチャーやIT系スタートアップ企業であることと比較しても安心感は格別であり、リスク管理体制やセキュリティ面でも高い評価を受けている。高年利でありながら、安全性を両立している点が投資家にとって大きな安心材料だ。
<円安時代の資産防衛──仮想通貨をポートフォリオに組み入れる>
円安と物価上昇による日本円の購買力の低下が意味していることは、資産を日本円で多く保有するということは、円の価値変動リスクを抱え、気づかないうちに資産が「目減り」しているということだ。この状況を避けるためには、円だけに依存しない資産形成が不可避である。
その中でも仮想通貨は、特定の国や通貨に左右されないグローバル資産であり、通貨分散の有効な手段と言われている。いわば国際通貨であるため、円安局面でも資産価値を維持しやすい点が魅力だ。ステーキングやレンディングを活用すれば、「資産を守りながら増やす」といったこれまでの投資にはなかったような運用も可能になる。
とはいえ、取引所によって条件は大きく異なる。年率、ロックアップ期間、対応銘柄数などを慎重に比較し、条件の良い取引所を選ぶことが成功の鍵となる。リスクを分散し、眠らせている資産を「育てる資産」へと変える。それこそが、円安時代を生き抜く新しい資産防衛の形になるだろう。
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