<地方創生の要にMICE(マイス)あり?!>地域活性化と高い経済効果をねらったビジネストラベル誘致に向けた動き

デジタル・IT

メディアゴン編集部
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政府の推し進める「地方創生」。立場や考えによってその評価や理解は様々だ。そんな中、地域活性化・地方創生のキーワードとして「MICE(マイス)」という言葉への注目が集まっている。
MICEとは、

  • Meeting(会議・研修・セミナー)
  • Incentive tour(報奨・招待旅行)
  • Convention / Conference(大会・学会・国際会議)
  • Exhibition(展示会)

の頭文字をとった造語。これらに当てはまる旅行は、格安旅行があたりまえとなった今日では、例外的に単価の高い消費を期待できるビジネストラベルとなっている。高い経済効果をもたらす旅行客単価の高いMICEの誘致は、地域・地方にとっては魅力だ。
首都圏・都市部にいるとほとんど意識することのない「MICE」も、地方自治体の観光セクションや観光庁・関連団体などではすでに浸透した取り組み・言葉として積極的な動きが始まっている。既存の有名観光地とは一線を画したアプローチや提案が評価される点もビジネストラベルの特徴のひとつだろう。
行政や外郭団体・民間組織などが国内外からのMICE誘致を目指すための組織「コンベンション&ビジターズ・ビューロー」が多くの自治体で設立され、全国規模のイベントや専門誌なども登場している。全国的な動きを伴っている地方創生の「隠れた本丸」だ。
そして近年、「地方創生」機運の高まりに合わせ、MICE業界でも新しい試みが登場しはじめている。「お堅い」と思われがちな地方の行政や自治体外郭団体でも、これまでにない取り組みが模索されている。インターネットを有効に活用することで、これまでのような大きな予算や人員を用いなくてもアイデア次第で効果的な情報発信ができるようになったことも大きい。
山形市をはじめとする山形県村山地域(7市7町)が母体となっている「一般財団法人 山形コンベンションビューロー」(理事長:市川昭男 山形市長)では、この春、コンベンションビューロー業界としては全国で始めてとなるMICE専用スマートフォンアプリ「やまがたMICEなび」(無料:http://www.convention.or.jp/app_mice/)をリリースした。
この分野でスマートフォンアプリを、しかも税金を利用している自治体の外郭団体がリリースすることは珍しい。同ビューロー事務局次長の阿部孝志氏は次のように話す。

「アプリ企画のきっかけは、イベントやコンベンションの会場でスマートフォンやタブレット使用者の多さ。一般の普及率より学会や各種会議への参加者でのスマートフォンやタブレットの普及率は高くアクティブユーザーも多い。従来の紙の観光パンフレット等だけに頼らない動きは、長い目で見れば経費も抑えられる。それ以上に、世界中に『やまがた』のMICE情報を届けることができるメリットは大きい」

スマートフォンやタブレットのアクティブユーザー層が単価の高いビジネストラベルの顧客層であり、且つMICEを牽引している。アプリで情報発信をする効果は小さくないと考えているのである。
「やまがたMICEなび」制作・開発は、東洋大学総合情報学部の藤本貴之准教授(情報デザイン)が担当し、企画段階から産官学連携で進められた。これもMICEならではかもしれない。藤本東洋大准教授は、このような地方・地域の動きについて次のように述べる。

「スマホがあれば場所や時間を選ばない情報授受が可能。しかもスマホは財布以上に携帯時間が長い。世界中の情報発信者は、スマホで世界中の人たちとダイレクトに繋がった状態だ。情報をどう届けるか、どう見せるか。今日、ブランディングとはその届け方・見せ方の勝負になっている。無名だった地方がある日突然世界的に有名になる『天空の城・朝来市』(兵庫県)のような事例はこれからは増えてゆくだろう。その意味で、ターゲットが世界に向いているMICEにスマホアプリは適している。」

もちろん、山形だけではない。各県のコンベンションビューローのホームページを見ると、実にさまざまな誘致企画、サービスが展開されていることがわかる。旅行代理店も顔負けだ。
地方創生の「隠れた本丸」として期待されるMICE。ターゲットが国内だけでなく、世界へと広がっているだけに、インターネットを有効に利活用がキーポイントになる。
今後は、単に紙のパンフレットをWEB化しただけではない、一歩踏み込んだ新しい取り組みができるかどうかで、地方創生事業にも格差が生まれてくるはずだ。
 
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