<山手線デジタルサイネージの視認率75.7%>通勤電車内のデジタルサイネージで朝ドラを観る日も近い?

デジタル・IT

岩崎未都里[学芸員・美術教諭]

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筆者はこれまでデジタルサイネージに関して、他国との比較も含めて、いろいろと記事を書いてきました。その理由はデジタルサイネージに強い可能性を感じていたからです。
2002年にJR東日本の山手線E231系で導入された「トレインチャンネル」。そのトレインチャンネルの視認率は75.7%という数値になっています。(視認率関東交通広告協議会・2013年調査)2012年には214億円だったデジタルサイネージの広告費は、2020年に7.5倍の1600億円という数値予測もされています。(ITmedia マーケティングによる国内デジタルサイネージ広告市場より)
確かに、電車内では、スマホを見てる以外は、気がつけばトレインチャンネルを注視してます。
アジアではタイのバンコクで、デジタルサイネージのCMに音声まで付いて街中に定着しています。日本では、成田空港と比較して羽田空港は飛躍的に充実しており、デジタルサイネージを目にしない場所な無くなりつつあります。宣伝広告VTR内容も、単なる静止画CMから、魅せる動画CMへと、ここ1年で変貌を遂げてきています。筆者が連日観ている渋谷交差点の大型デジタルサイネージ数画面は、アート系動画広告からストーリーのあるドラマ形式の動画広告も増加しています。
ここで最近で印象深かったのは「万葉倶楽部」のデジタルサイネージです。日帰りエステ付き温泉「万葉倶楽部」では、館内のいたるところに設置されたデジタルサイネージに「万葉倶楽部オリジナルの90秒のショートドラマ」が放映されています。
筆者は思わず見入ってしまいました。放映されていたのは、主役の柳沢慎吾さん演じる「不器用な父」と、一人娘との関係を描いた「娘の引っ越し」編。
幼少期は一緒にお風呂に入る仲良し2人きりの親子だったのに、娘は思春期になり反抗期に。そして彼氏が登場します。お父さんを無視する娘は手作りお弁当も叩き落とす始末。それでもお父さんが歩み寄り、娘の彼氏を認めて仲直り。そして自立した娘は引っ越してゆくというストーリー。
筆者は「きっと、この娘さんは結婚しちゃうんだろうなあ」と、思いましたが、翌月行った際に、しっかりと続編の「父涙・娘の結婚」編 が放映されていました。
見回すと、混雑する週末の「万葉倶楽部」のお客様の殆どが、この90秒のショートドラマ観ているようです。館内の視聴率は80%は超えているように思います。
筆者は、いずれ、電車内でしっかりした連続ドラマを放映され、凄い視聴率と話題になるだろう、と予測しています。原則的に無音の動画なのですが(私有ビル内などでは有音です)何か工夫しながらも製作してゆくのではないかと、今後も非常に興味深いです。
数年後、2020年の東京オリンピックに向けて、2012年には26%(214億円)だったデジタルサイネージの広告費が、2020年には全体の64%を占めるという数値予測もされています。
毎朝、通勤電車内でデジタルサイネージオリジナルの朝ドラを観ることができる未来が来る日も近いかもしれませんね。
 
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