<内輪感満点の流行語大賞>「トリプルスリー」や「アベ政治を許さない」って流行りましたか?

社会・メディア

メディアゴン編集部
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12月1日にユーキャン「新語・流行語大賞」が発表された。毎年、「流行語大賞に選ばれると年明けに消える」というジンクスがある賞だ。「流行・流行語のはかなさ」を痛感することができる貴重な賞なのかもしれない。
今年の年間大賞には「トリプルスリー」と「爆買い」の2つが選ばれたが、これを見て疑問になっている人は少なくないはず。
中国人観光客による「爆買い」は話題にもなったし、知っている人も多いだろう。しかし、一方の「トリプルスリー」。この言葉を「流行語」として認知している人がどれほどいるのだろうか?
「トリプルスリー」とは、プロ野球で打率3割、ホームラン30本、盗塁30個を同時に達成することを意味するそうで、今季、ソフトバンクの柳田悠岐選手とヤクルトの山田哲人選手が達成したとのこと。
記録としての凄さを評価することにはやぶさかではないが、これが「流行語か?」と問われれば、「違う感」が漂う。少なくとも「流行語」ではない。
「少なくとも流行語ではない」という点では、トップテンに入った「アベ政治を許さない」も理解不能だ。「アベ政治を許さない」は、流行語大賞の選考委員長・鳥越俊太郎氏が「呼び掛け人」を務めたキャンペーンである・・・ということで発表後の12月1日からは話題になっているが、それ以外の場面で「流行語」になった気配は微塵もない。
そもそも審査委員会がよく分からないと感じている人は多いのではないか。
選出母体である「現代用語の基礎知識」の編集長・清水均氏、漫画家やくみつる氏、クリエイティブ・ディレクター箭内道彦氏が委員であることは、流行に敏感そうなので理解はできる。
しかし、それ以外は理解に苦しむラインナップだ。
選考委員長の鳥越俊太郎氏、室井滋氏(女優・エッセイスト)などは、流行の何に関わり、何が判断できるというのか。俵万智氏(歌人)は「かつての流行語だ」というぐらいしか存立理由がない。姜尚中氏(東京大学名誉教授)に至っては、「資本主義にまみれた流行語なんてモノを審査しては、先生の思想に反しませんか?」と心配になるくらいだ。
年末恒例の行事とはいえ、所詮は民間企業が選ぶ民間企画の賞。公平・公正性などは問うことはできないし、問う意味もない。誰が審査委員になろうが、それも企業やスポンサーの判断だ。それに文句をいう権利もないし、意味不明さを楽しめるぐらいがちょうど良いだろう。
しかし、それでも年末の恒例行事として定着し、それなりに話題性のある企画なのだから、トップテンのラインナップから感じる「満点の内輪感」にはちょっと残念な気がする。
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