<実現は可能?>Netflixだけが小保方手記「あの日」をドラマ化できる

社会・メディア

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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「私は、流れに乗っているうちにはめられてしまった」

小保方晴子氏の手記「あの日(講談社)」には、短く要約するとそういうことが書いてあった。
ほんとうにそうかどうかは、これのみにて判断してはいけないのは当然のことである。しかも、筆者はこの手記にて黒白を判断しようとして読んだのではない。おもしろいかどうか、興味深いかどうかを判断しようとして読んだのである。
これがテレビ屋の「性」である。立川談志流に言うなら人間の業が描かれているかどうかを見極めたくて読んだのである。
結論を先に言うと、「至極面白い」人間の業が「一方的ながら表に出てくるように」書かれている。
読後すぐ「この手記は、ドラマ化に耐えうる」と思った。同時に、

  • 「テレビでは出来ない」
  • 「スポンサーが付かない」
  • 「面倒なモデル問題・名誉毀損問題が発生する」
  • 「爆発的な視聴率を稼ぐ」
  • 「誰も科学的な監修をしてくれないだろう」

・・・などの思いがたちどころに想起し、日本人の作り手でのドラマ化は難しいかな、と思ってしまった。
一方で海外、特にアメリカあたりであればドラマ化は可能であろうとも思った。
科学的な監修に関しては名門UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に中にあるGlobal Media Center for Social Impactで何とかなるかも知れない。彼等は一流の科学者で組織されており、あらゆるドラマ化において「Entertainment first, Message second.」を旨とするクリエイターの強い味方だ。
ただ、いわゆる「ハリウッド版」のような形ではなく、やはり日本のドラマとしてみたいものだ。
・・・と言うことなどから考えると、日本で「あの日」をドラマ化出来るのはNetflixだけである。製作委員会方式でもダメだ。出資者が無数にいるクラウドファウンディング方式などがよいかも知れない。
 
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