<今の選挙制度は機能しているか?>18歳の選挙権と同様に被選挙権も引き下げはできる[茂木健一郎]

政治経済

茂木健一郎[脳科学者]
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20歳という成人年齢に、生物学的な意味があるわけではない。むしろ、「10進法」という、たまたまそうなった数値で切りがいいからそうなっているだけと考えられる。
従って、選挙権が20歳から18歳に引き下げられたということ自体に、生物学的に、劇的な意味があるわけではない。社会とのかかわりも、18歳だと高校生で学生じゃないかという人もいるが、20歳でも学生をやっている人もいる。
「18歳では責任をもって投票できない」みたいな議論も聞くが、では、25歳でも30歳でも、あるいは60歳でも、ほんとうに責任をもって投票しているのか、と言えば、あやしい。
つまり、年齢で投票適格性を区切る議論自体がナンセンスである。 もちろん、5歳の子に投票ができるか、と言えば、それはまあ無理だろう。
だから、ものごとの弁別ができる年齢で投票権を与えるという発想自体は妥当である。しかし、それは18歳ではなくて、16歳なのかもしれない。
被選挙権についても、私は引き下げに賛成である。選挙権と同じ議論が被選挙権についても成り立つ。
その年齢では未熟うんぬんの議論は、今、「立派な年齢」で選ばれている議員さんたちの「選良」ぶりを見れば、意味がないことがわかるだろう。 一般に、ある年齢で選挙権、被選挙権を区切るという制度は、便宜上のものにならざるを得ないのだから、その是非を議論しても生産的ではない。
私たちが本当に考えるべきことは、今の選挙制度が実質において機能しているのか否かであろう。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 
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