<映画「仮面ライダー1号」は大人こそ面白い>藤岡弘は45年間もショッカーと戦い続けていた!

映画・舞台・音楽

メディアゴン編集部
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先日、立て続けに映画を2本見た。1本は「仮面ライダー1号(金田治監督・東映)」、もう1本は「バットマンVSスーパーマン(ザック・スナイダー監督)」である。
時間とお金を使い、特撮系の映画を見る前には、いささかの危惧はある。
「仮面ライダー1号」に関していえば、「こども向けのストーリーで深みはないだろうから寝てしまうかも知れない」というものだ。特撮マニアでもない大人が無条件で楽しめるものではないように思うからだ。しかし、その一方で、藤岡弘の主演なので何かありそう、という気もする。
もちろん、仮に「仮面ライダー1号」がつまらなかったとしても、ハリウッド映画である「バットマンVSスーパーマン」に安心感があることは事実だ。バットマン映画、スーパーマン映画といえば、十分に大人向けだからだ。
つまり「仮面ライダー1号」がダメでも「バットマンVSスーパーマン」で口直しをすれば良い、という気持ちで映画館へと向かったことになる。
しかし、このアテは完全に外れることになった。「仮面ライダー1号」が予想外に面白かったのだ。
「仮面ライダー1号」おもしろさのワケは藤岡弘の演技にある。チャラチャラした平成ライダーの芝居をさておいて、きわめて重厚。藤岡さんは昔から子どもが見る番組だからといって子供用の芝居をしていなかったことを思い出す。
そうそう、そうなのだ。これが仮面ライダーだ。スーツアクターの演じるところもあるのだろうが、生身の藤岡さんのアクションもまだ健在。
世界征服を企む悪の秘密結社・ショッカーが本郷猛(=仮面ライダー1号=藤岡弘)によって壊滅してから、すでに45年の歳月が流れていた。だが、本郷は今なお世界各地でショッカーの残党たちと戦い続けていた、というストーリー。名実ともに、藤岡さんは健在だったのだ。
ある日、本郷は日本にいる「おやっさん」立花藤兵衛の孫娘・立花麻由が、ショッカーの大幹部「地獄大使」を復活させるための生贄としてショッカー残党に狙われていることを知り、緊急帰国する。
しかし、45年の戦いに明け暮れる歳月は本郷の体をむしばんでいた。一方、ショッカーも内部抗争を経て反乱を起こしたものが、もうひとつのショッカー「ノバショッカー」を結成していた。彼等は企業を興しその企業の力で世界をすべて自分たちの意のままに動かそうとしていた。
本郷にとっても地獄大使にとっても対立する敵となった「ノバショッカー」。本郷と地獄大使は手を組んで「ノバショッカー」と、対峙する。もちろん、「ノバショッカー」は、やっつけられるのだが、その戦いで、傷ついた地獄大使(大杉漣)に本郷が声を掛ける。

本郷「体をいたわれよ、地獄大使」

この箇所で思わず爆笑してしまった(この面白さは、ぜひ見て、感じてほしい)。
さて、そんな大満足の「仮面ライダー」の次に見たのは安定(?)だったはず「バットマンVSスーパーマン」。しかし、これはストーリーの構造が「仮面ライダー1号」とそっくりだったことに拍子抜けした。もちろん、偶然ではあろうが。
ある誤解から対立しているバットマンとスーパーマン。そこに、二人をしのぐ強力な敵が現れて・・・というストーリー。この強力な敵というのが、まるで「進撃の巨人」のようなのだ。こちらは偶然か? いづれにせよ、思わず失笑。
2本を立て続けに見た結果、収穫は想定外の「仮面ライダー1号」の方だった。
 
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