その自公維凶暴につき、都議選で鉄槌を下す -植草一秀

政治経済

植草一秀[経済評論家]
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東京都議選が6月23日に告示され、7月2日の投票日に向けて選挙戦が展開されている。
この選挙の最大の意義は、東京都の主権者が、安倍自公政権に対する不信任の意思を明示することにある。したがって、「当選運動」ではなく「落選運動」を軸に選挙戦を展開することが求められる。
安倍自公政権は東京都議選への影響を避けるために、国会において議会制民主主義を破壊する暴挙に突き進んだ。「共謀罪」を新設する法案を、委員会での審議、採決も行わずに、本会議で中間報告、採決に突き進んだ。
参院本会議では希望の会(自由・社民)や沖縄の風会派所属議員が牛歩などのフィリバスター戦術を活用して抵抗を示したが、民進党などは自公が主導する暴挙に採決では協力する姿勢を示した。
「共謀罪」は、は犯罪の行為と犯罪結果があってはじめて処罰するという日本の刑法の基本原則を破壊するものである。「組織犯罪集団」が犯罪の「準備行為」に着手した段階で罰するというものであり、刑法の基本原則に反するものである。
「共謀罪」は「組織犯罪集団」が犯罪の「準備行為」に着手した段階で「犯罪」を認定するものだが、市民集団と組織犯罪集団の線引き、「準備行為」と「準備行為以前の行為」の線引きがあいまいである。
刑事司法の鉄則のひとつに「罪刑法定主義」がある。
日本国憲法第31条は「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と定めている。国民が自己の行動が処罰されるかされないか、予測可能性を保障して、もって国民の行動の自由を確保しようとするのが、この第31条の意味である。
日常頻繁に繰り返される行動とは明確に区別される高度の違法な行為だけを犯罪として処罰することになっているが、「共謀罪」では、その線引きが極めてあいまいになり、普通の市民の普通の行動が、常に捜査当局の監視下に置かれ、普通の市民の普通の行動が、犯罪として処罰される惧れが生じる。
これは、憲法第31条が定める「罪刑法定主義」に反する憲法違反である。このような「共謀罪」創設を、安倍政権は参議院での審議が未了であるのに、審議を打ち切り、本会議に中間報告して、採決を強行。「共謀罪」を強行制定した。
さらに、根源的な政治腐敗事案である森友・加計・山口の「アベ友三兄弟」疑惑に関して、必要な説明責任さえ果たしていない。「共謀罪」審議を続け、「アベ友三兄弟」疑惑に関する国会審議を続けていれば、東京都議選で安倍政権与党の自民、公明、さらに準与党の維新が東京都の主権者の厳しい審判を受けることは確実である。
そこで、安倍政権は国会を強行に打ち切って、安倍政権に対するネガティブな情報を遮断しようとしているのだ。これらの経緯を踏まえれば、この東京都議選で東京都の主権者が取るべき行動は明確である。安倍政権与党の自民、公明、そして、安倍政権準与党の維新の候補者を全員落選させることが最大の目標になる。
築地問題では、築地利権確保の視点から自民党が豊洲移転を強行に推進している。このような「利権ファースト」の行動を許さない。自民候補を落選させて、自民党を東京都議会第一党の位置から引きずり下ろす。これが、東京都議選の第一の課題である。
本来は、自公・維新に代わる、主権者の意思をしっかりと掬い上げる、たしかな野党が必要だが、野党第一党の民進党が壊滅状態であり、これを期待できない。次期衆議院総選挙に向けて主権者サイドの課題は残るが、まずは、東京都議選で自公維の与党勢力を敗北させることが最優先される。

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