「共謀罪」に反対しない創価学会はもはや宗教団体ではない?
山口道宏[ジャーナリスト/星槎大学教授/日本ペンクラブ会員]
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まるで欠陥商品をコトバ巧みに売り込む詐術に見える。「組織的な犯罪の共謀罪に対する御懸念について」と謳う法務省のホームページだ。それはPCの操作マニュアルの「よくある質問」のようで、「共謀罪」とは国の所管ですら国民の「御懸念」を認める悪法らしい。法務省は「悪法も法である」を地でいくのだろうか。
「この男、凶暴につき」(北野武監督・1989)という映画があったが、「共謀罪」には、凶(狂)暴罪の疑いがある。動機が不純なら「手続き」も「内容」も不純であった。
安倍首相がいう「これをなくして東京オリンピックはできない」「○○できないのはそれがないから」は、おかしい。だったら「共謀罪」で拉致問題が解消するのか? 「共謀罪」で 森友・加計疑惑がはっきりするのか?
本件へは、国連が我が国政府に直接寄せた「プライバシーや表現の自由を不当に制約する」「人権に有害な影響を及ぼす危険性がある」と懸念する警告(国連人権理事会特別報告者・ケナタッチ氏2017.5.18)から、日本が人権レベルで世界の心配ごとの新たな枢軸国になったことを国内外に知らせた。
【参考】<共謀罪は『新・治安維持法』>安倍暴政の暴行暴虐に「泣き寝入り」はやめよう(https://mediagong.jp/?p=23168)
施政者が目論む展開のため「ミサイル危機」や「海外テロ」を煽るは我が国の政権与党がなす国民への「印象操作」の常套手段と驚かないが、その「共謀」ぶりの演出に海外が白けている。
ところで、「共謀罪」に、公明党の創価学会が反対しないわけが分からない。
宗教弾圧につながる法令には過敏であるはずが、いまだに「NO!」といわないのだ。ひょっとしたら創価学会は宗教団体ではないのかしらと思う。れっきとした宗教団体ならばいち早く誰よりも表現の自由、信教の自由に敏感なはずだからだ。
信心、集会など対象に内心を監視する法律など当然に「狂暴である」と怒って当然。なにしろ牧口常三郎・創価学会初代会長は当時の「治安維持法」並びに「不敬罪」の容疑で検挙・投獄、そして獄死しているのだから。
本件では、そもそも「現行の刑法で十分で不要だ」「立法趣旨が分からない」と多くの刑法学者も人権擁護の視座に立ち反対している。
この法律で誰が笑うのか! である。「共謀罪」は甚だ違憲である。今からでも遅くない。即刻の廃棄こそが国際的にも信用回復の外交の確かな第一歩といえる。
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