<県民置き去り?>異色候補者と与野党対決ショーに踊らされる千葉県知事選挙

社会・メディア

水野ゆうき[千葉県議会議員]

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3月4日告示、3月21日投開票の千葉県知事選挙が、今、千葉県とは無関係なレベルで話題沸騰だ。

そもそも今期で退任する現千葉県知事・俳優の森田健作氏の後任選挙。そこからしてきな臭い。元スポーツ庁長官の鈴木大地が出馬を取りやめたことでも知られる「いわくつき」の選挙であることが関係しているかどうかはさておき、一地方の首長選挙とはいえないほど、注目を集めている。

まずは、ビジュアル的なインパクトが国政選挙レベルの4名の異色候補者の存在だ。「コロナは風邪」でおなじみの「国民主権党」平塚正幸氏。今回は「マスクは外そう」と「ワクチンは危険」といった新たなスローガンを追加しての参戦だ。

そして、白塗りのジョーカーメイクで登場しているのが、千葉県のディズニーランド化構想を掲げる「千葉県全体を夢と魔法の国にする党」河合ゆうすけ氏。さらに、近年の各方面の選挙に出まくり、奇抜なポスターと音声削除の政見放送をするなど、選挙の風物詩としてポスト・マック赤坂のポジションを確実にしている後藤輝樹氏。そして、「千葉のバイデンを目指す」と言い、政見放送では熊谷氏と関氏を副知事にして海外経験をさせるという内容に加え、小池百合子都知事に公開プロポーズをしてしまう加藤けんいちろう氏。

とにかく、国政選挙なみの話題に事欠かない選挙となっているが、注目のレベルは完全に政治も県民も置き去りになっている。こういったインパクト候補以外でも千葉県民を置き去りにした選挙戦が話題になっているのが今回の選挙の特徴だろう。

[参考]選挙報道とメディアのあり方

4人のインパクト候補に隠れてしまい、影が薄いように見えるが、他の「主要候補」はと言いえ、地方首長選挙にもかかわらず、全員が千葉県知事選挙とは思えない国政選挙のような政党政治に猛進し、メディアも「与野党対決」的な煽りをしている点だ。いうまでもなく、首長選挙と千葉県民の生活にとって、政党政治、与野党対決などは無関係だ。

例えば、元千葉市長・熊谷俊人氏に関して言えば、無所属での立候補ににもかかわらず、なぜかマスコミは立憲民主党色が色濃く報道している。実質は、無所属の議員や首長なども支援の中核にいるし、維新や一部自民党・公明党国会議員等の支援もある。しかし、なぜかそれが極端に見えづらくなるような構図でメディアでは扱われている。

一方で、自民党の元千葉県議・関まさゆき氏は当然、政権与党をアピールした内容である。共産党推薦の金光りえ氏は自民党政権打倒を強調するなど、とにかく、首長選挙とも千葉県民とも無関係な党派闘争になってしまっている。もちろん、インパクト候補に加えて、マスコミもこういった「千葉県知事選挙で与野党激突」的な雰囲気で盛り上げようと必死になっている。どれもこれも県民を差し置いて政党が前に出ている気がしてならない。

さらに、話が複雑にしている要因として、共産党・志位委員長がツイッターで「熊谷氏も関氏も自民党、保守分裂選挙」という主旨の内容を投稿し、立憲民主党県議団が熊谷氏を支持していることはなぜか言及しないということもあった。共産党はそもそも国政では立憲民主党との野党共闘も視野に入れていることから、立憲民主党が熊谷氏を支援していないかのような書き方であるが、実態は、これまで熊谷候補を支援してきた無所属や保守系メンバーが困惑するほど前面にでた支援をしている。

衆院選を控え、それぞれの政党がそれぞれの思惑で、候補者それぞれを自分の都合の良いように色を付けているようにしか見えない。ある意味、候補者も被害者であるが、何よりも、自分たちの生活に直結した選挙にもかかわらず、国政選挙のような政党政治で争われ、出てくる情報はインパクト候補の奇行ばかり・・・という千葉県民が一番の被害者だ。

無所属として、党派ではなく、政策で連携をとってきた筆者のような生粋の無所属議員からすれば、候補者たちは、どうかそういった党派からの思惑やメディアの煽りに影響されずに、千葉県民のことだけを想った意思決定や選挙戦を戦い、当選を勝ち得てほしい。千葉県政に対する政策や課題を語り、千葉県が抱える個々の課題に対する政策ベースの議論を展開して欲しいと願う。

 

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