御用NHKが震撼「NHKから国民を守る党」統一地方選で大躍進 -植草一秀

社会・メディア

植草一秀[経済評論家]

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4月7日と4月21日に投開票日を迎えた統一地方選で特筆すべき事項がある。

「NHKから国民を守る党」が大躍進を遂げたことだ。今回の統一地方選で同党は東京23区や関西を中心に26人が当選。所属議員が13人から39人に急拡大した。この党は元 NHK職員の立花孝志氏が2013年6年に設立した政治団体。立花氏は2013年9月の摂津市議選、2014年2月の町田市議選で落選したが、同年4月の船橋市議選で初当選した。

この任期中に市議を辞職して2016年東京都知事選に立候補して、NHKの政見放送で「NHKをぶっ壊す!」と発言して話題を呼んだ。翌2017年1月の茨木市議選、同年7月の都議選葛飾区選挙区で落選したが、翌2018年11月の葛飾区議選で当選して約2年ぶりに議員職に返り咲いた。

今回の統一地方選で実施された東京都区議会議員選挙で同党は20人の候補者を擁立し、17人が当選した。すでに当選していた議員を合わせて、東京23区のなかの19区で議席を確保している。新興政党としては驚異的な選挙実績を上げている。

立花氏は4月21日の統一地方選第2弾投票結果が明らかになった段階で、

「江戸川区が落選して、最終結果が出ました。47名立候補して、当選者が26名現職13名と合わせて、NHKから国民を守る党の所属議員が39名になりました。7月の参議院選挙に挑戦する土台が出来ました。」

とツイートした。同党は公式サイトに「NHKから国民を守る党は、NHKにお金 (受信料)を払わない方を全力で応援・サポートする政党(政治団体)です。」と自己紹介している。

同サイトは「NHKから国民を守る党がNHK受信料不払いを薦める理由」として、以下の8項目を列挙している。

1 NHK役職員の給与が高すぎる

2 NHK関係者は犯罪者が多すぎる(犯罪者がNHK職員をしていると言っても過言ではない)

3 NHK集金人は悪質

4 NHKの経費の使い方に問題がある

5 NHKは【弱いものいじめ】をしている

6 73%の支払い率で黒字決算はおかしい

7 スクランブル放送を実施しないNHKは視聴者を無視している

8 NHKはウソの番組を放送している

このなかの7番「スクランブル放送を実施しないNHKは視聴者を無視している」の説明は以下のとおりだ。

「73%の支払い率を一気に99%以上にする方法があります。それはNHKの番組だけ映らないようにするスクランブル放送です。すでにWOWOWやスカパーが実施している制度を、NHKが取り入れられない事はありえません。産経新聞のアンケート調査では、88%の人がNHKのスクランブル放送を希望しています。NHKは「みなさまのNHK」を標榜しながら、視聴者にスクランブル放送に関する調査を一度も行っていません。私たちNHKから国民を守る党は、NHKを観たい人が受信料を支払い、NHKを観たくない人は受信料を支払わなくていいよう、スクランブル放送の実現を目指しています。スクランブル放送が実現されれば、憲法19条の思想の自由が保障される事になり、NHKを観ないで民放だけを観る権利や、NHKと契約しない自由が生まれます。」

極めて正当な主張である。第二次大戦での敗戦後、GHQが日本民主化を主導した。このなかで戦後日本の土台となる日本国憲法が制定された。日本民主化の一環としてNHK改革が動き始めたが、「逆コース」で雲散霧消してしまった。

「逆コース」とは、米国の外交方針が転換し、対日占領政策の基本方向が転換してしまったことを指す。「民主化」が「非民主化」に転換してしまったのである。NHK改革が雲散霧消したのはこのためである。

改革はNHKを政治権力から独立させることを目指したものだが、「逆コース」によって、NHKは政治権力の完全支配下に置かれることになった。これが権力の御用放送機関としてのNHKの現状を生む原因になった。そのNHKの抜本的改革が求められている。立花氏の政党はNHK改革をもたらす原動力になる可能性を秘めている。

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