<強烈な場違い感>安住アナがビートたけし再婚に「水くさい」
高橋秀樹[放送作家/発達障害研究者]
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2月8日(土)夜10時、TBS『新・情報7DAYSニュースキャスター』の生放送を見た。この日、一部スポーツ新聞が報じたビートたけしの再婚。生放送に出演するたけしが、何を話すか見たかったからである。笑えるに違いないと思ったからでもある。
しかし、番組を見て、私は笑える前に強烈な「場違い感」におそわれた。理由はただひとつ。ビートたけしがこの日まで再婚のことを黙っていたことに対して、安住紳一郎アナウンサーが「水くさい」と責めたからである。「水くさい」とは、「よそよそしい」「他人行儀だ」という意味だ。料理は水分が多すぎると水っぽく味気なくなる。このことを比喩的に、愛情が薄い、人情が薄いと、身近だと思っている人に対して使うのが「水くさい」である。
安住アナは「これだけつきあいが長いのに」という意味のことも言っていた。つまり、たけしは安住アナに「私たちは身内なのになぜ教えてくれなかったのか」と、言われたことになる。
「水くさい」の場違い感、違和感は、まさしくこの点にある。
通常なら放送以外の楽屋で身内どおしの話として済ませておくべき話を、公開の場である放送に持ち出し、しかも内輪話の時の用語である「水くさい」を使ったのだ。たけしの再婚は、スポーツ新聞が持てる限り最大のポイント数の大活字を使って報じたくらいであるから、この日最大の芸能エンタテインメント情報である。
芸能情報も見逃さない『新・情報7DAYS ニュースキャスター』なら、このニュースは絶対に取り上げるべきだ。もちろん、ビートたけしを起用している番組ならば、これを全く無視するという矜恃を選択することもできる。それはどちらでもよいと思う。
そんなことを考えながら、「どうするのだろう」と、興味は高まり、私はテレビの前に座ったのである。
そこに安住アナの「水くさい」発言。私は、もとより番組の身内でないのは分かっていながら、なんだか、疎外されている気がしてしまった。そんな、わがままさを持っているのが視聴者だとも言えるし、番組の内輪感を味わって楽しんでいるのも視聴者なのだろう。では私はと言うと・・・その後の新型コロナウィルスのニュースを『新・情報7DAYS ニュースキャスター』で見るのは止めてテレビを消した。
ところで、翌日のTBS『サンデージャポン』では、身内とも言えるテリー伊藤も、爆笑問題・太田光も、全くコメント無し。それはそれで気持ちよい。
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