メディア界、お前もか!! と言われる前に 「高齢者」の年齢を変えて国際比較はできないのだ
山口道宏(ジャーナリスト)
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税調査は5年で時効、領収書は黒塗りもありというのに、やれ5年後だ、いや10年後だと「裏金」の領収書公開年をめぐり、お粗末な政党政治の議論??(「政治資金規正法案」)が続いている。そもそも、それって国民の税金!! こちらが怒り心頭だ。
さて、政府は「高齢者」を65歳から70歳以上へと5歳引き上げを提言した(経済財政諮問会議2024.5.26時事)。いまや時代は「ウェルビーイング」「リスキリング」だから、が根拠らしい。
それにしても、この提言には2つの「ヤバい」 がある。
ひとつは「人生100年時代」だから、誰もが「働け」「働け」ということ。元気で、働きたい人は多いのだから即ち「ウィンウィンの関係でしょ」と。しかし実態は「年金だけで暮らせないから、働かないと、食っていけないから」。つまり提言の本音は「年金支給先送り」と「人手不足解消」のセットの企みにすぎない、と子供でも分かる。
武見厚相は「高齢者は65歳」の定義を維持するとキッパリ。なぜなら.年金、介護の基礎だからと、提言をしっぺ返し。
もうひとつの「ヤバい」は、こうだ。
「高齢者」の年齢がコロコロ変わることに、メディア界は不適切にもほどがある反応ぶりだ。知ってか知らずか「高齢者はいくつからがいい??」なんて真顔で語っている。
国策の企みに翼賛していたなら冒頭の裏金政治の批判など到底できない。
国によって、ウチは60歳から、ウチは65歳から、ウチは70歳から、となったらどうか。国際比較はできない!! これとて子供でも分かる。
誰もが「100歳」を迎えるわけではない。同じ頃、こんな新聞報道も。「高齢独居死 年6.8万人 警察庁推計 政府、対策強化へ」。
こちらこそ「ヤバい」「ヤバい」ではないか。