<ビットコインだけじゃない>ステーキングとレンディングで2025年仮想通貨に挑戦

デジタル・IT

時田秀一(本誌ライター)

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私たちの認識が、実際の数値と大きく乖離していることは珍しくない。

例えば、日本人はサッカーと野球を「二大巨頭」と認識しがちだが、世界の競技人口という数値に目を向けると、この認識は覆される。世界野球ソフトボール連盟(WBSC Strategic Plan 2022-2028)のデータによれば、野球・ソフトボールの競技人口は約6,500万人であるのに対し、国際サッカー連盟(FIFA 「The Big Count Report」)によれば、サッカーの競技人口は約2億7,000万人に上るという。約4.15倍(サッカー/野球)と圧倒的な差があるのだ。

また、近年話題の生成AIなどは顕著だ。ほとんどの人がAIを駆使している印象かもしれないが、実態としては、大企業でも導入率は26.1%。中小企業にいたっては17.5%にとどまっている(出典:総務省「情報通信白書2025」)。メディアでの露出や話題性とは裏腹に、実際の導入率はまだ四分の一もないというわけだ。

このように、私たちの認識が、現実の数値と異なることは多々ある。

これはビットコイン(BTC)が最高値を更新したことで再び大きな注目を集めている仮想通貨市場にも当てはまる。仮想通貨といえばBTCの話題ばかりが目立つが、実際には他の銘柄も驚くほど成長している。

まずは話題になっているBTCを数値で見てみよう。2024年初頭に約630万円だったBTCは、2025年10月には1,800万円を突破。上昇率は約185%に達し、時価総額は2兆4,000億ドル(約377兆円)を超えた(出典:Coin Market Cap「Historical Data 2024–2025」)。背景には、米国のインフレ率3.4%、ユーロ圏2.9%という物価上昇と、法定通貨への信頼低下がある(出典:IMF「World Economic Outlook 2024」)。また、ビットコインの発行上限2,100万枚という仕組みが、「インフレヘッジ資産」として再評価されたことも大きい。

2024年1月、米証券取引委員会(SEC)は初の現物ビットコインETFを承認したことも話題になり(出典:U.S.SEC「Spot Bitcoin ETF Approval Press Release」2024年1月)、承認から3ヶ月でETFの運用資金は200億ドルを突破(参照:Bloomberg「ETF Flows Analysis 2024 Q2」)した。これにより、仮想通貨は一部の投機商品から「公式な投資対象」へと地位を確立したのだ。

さらに2025年1月、米国大統領が「仮想通貨を国家として備蓄資産に含める検討を進める」と発言(出典:日本経済新聞「米国、仮想通貨備蓄を検討」2025年1月24日)。
この動きが、ビットコイン市場への機関投資家参入を後押ししている。

<ETH(イーサリアム):分散金融を動かすテクノロジーの核>

時価総額でBTCに次ぐ仮想通貨であるETHに関しては、保有している人ですら、実はよく知らないというのが現状だ。そもそもイーサリアム(Ethereum)はブロックチェーン技術を応用したプラットフォームの総称であり、ここで利用される仮想通貨が「ether(イーサー:ETH)」である。なぜETHがBTCに次ぐ時価総額になっているのか。それはBTCが取引履歴の記載台帳によってコインの信頼性を確保しているのに対し、ETH はスマートコントラクトと呼ばれる自動機能を有し、それが台帳に契約の条件などを加えることができる、という特徴が高い信頼性を生み出している。

これがビットコインが“デジタルゴールド”なら、イーサリアムは“デジタル社会の基盤”であるといわれている所以だ。つまり、BTCとETCは同じ人気仮想通貨であるが、その成り立ちや機能、特徴は異なっている、というわけだ。

2020年12月から2021年11月の強気相場で、BTCが約3.8倍上昇したのに対し、ETHは約9倍の上昇を記録した(出典:Coin Market Cap「Ethereum Historical Data」)。2025年10月時点のETH価格は38万円→74万円(+94%)に上昇し、世界全体の仮想通貨利益では、ETH由来が763億ドルであり、BTC由来の747億ドルを上回った(出典:Chain alysis「The Geography of Cryptocurrency Report 2022」)。値動きの大きさから、結果として利益額でもETHがBTCを上回ったのである。

分散型金融(DeFi)市場の預入総額(TVL)は1,100億ドルに達し、そのうち52%がイーサリアム上で運用されている(出典:DeFi Llama「Chains Overview 2025年10月」)。2位のBNBチェーン(14%)を大きく引き離し、イーサリアムは「分散金融の心臓部」としての地位を不動のものにした。

<XRP(リップル):実需で進化する国際送金ネットワーク>

エックスアールピー(XRP)は発行会社の名前をとって「リップル」とも呼ばれている。XRPは、仮想通貨の中でも「実際に使われている」代表格だ。送金スピードは平均3.8秒、手数料は0.0002XRP(約0.02円)である(出典:Ripple公式ホワイトペーパー)。従来の国際送金(1〜3日、手数料3,000円前後)と比べると、時間は1/1000、コストは1/100000にまで削減できる。

リップル社の提携企業は55カ国・300社以上に拡大し、XRPのアクティブウォレット数は前年比+142%増である(出典:Ripple Labs「Q1 2025 Report」)。年間送金件数は8.2億件を超え、実需の裏付けを伴った成長を遂げている。筆者による実証実験によると、日本からシンガポールへの1,000ドル送金が3秒で完了している。従来の48時間から1,0000倍以上も効率化を確認できたのである(参照:Ripple Net導入企業取材2025年9月)。

このように仮想通貨とは、BTCの印象とはまったく異なり、特徴や機能、利用目的によって多様に広がっている市場であることがわかる。もちろん、各コインの特徴やユーザーニーズを反映して、BTC以外の様々な銘柄も急速に成長していることがわかるだろう。

<「第二のBTC」を探すなら今がチャンス>

2025年の仮想通貨市場規模は2兆7,000億ドル(約420兆円)に上る(出典:Coin Market Cap「Global Market Data 2025年10月」)。この1年で価格が2倍以上になった銘柄は37銘柄もあり、「次の主役」が期待されているような状況だ。

しかし、どの新領域の、どんな銘柄が次なる大化けを果たすかを見極めるのは容易ではない。そこで重要になるのが「分散」と「時間」を味方につける戦略である。複数銘柄に少額を積立て、長期で持つことで、特定の銘柄が短期的に急騰・急落するリスクを軽減しつつ、将来的に大きな成長を遂げる「第二のBTC」候補を取りこぼすことなく保有することができるだろう。

かつて1BTC=0.07円、1ETH=100円が、今やBTCは1,800万円、ETHは74万円であり、仮に1万円分のETHを保有していれば740万円(740倍)になった計算だ(参照:Coin Market Cap Historical Data)。注目を浴びる前に少額でも所有していることが重要だとわかるだろう。

<成長銘柄をさらに伸ばす「賢い運用法」>

とはいえ、複数銘柄をただ保有するだけでは、機会損失になりかねない。仮想通貨の取引所では、積極的な利益獲得を支援する様々なサービスが登場している。「とりあえずBTCを買って、保有しておく」という従来の方法だけでは、仮想通貨投資の本当の魅力を体験できない可能性は高い。

例えば、仮想通貨投資では、ステーキングとレンディングと呼ばれるサービスがある(必ずしも全ての取引所で提供されているわけではないので、要確認)。

ステーキングとは、対象となる仮想通貨を契約口座に保有しているだけで、毎月利回りを受け取れる、というサービスだ。よく「保有するだけで報酬が得られる」などと表現される。
レンディングは、自分が保有している仮想通貨を第三者(取引所など)に貸し付ける仕組みで、ようはその貸借料が利益として得られる、というものだ。

いずれも、仮想通貨を購入したのはよいが、どのように運用すれば良いのかわからない初心者にとっては、魅力的なサービスである。しかし、日本での利用者はまだ9.8%にとどまっているという(出典:JVCEA 2025年調査)。この辺りは、投資感覚がまだまだ未発達の日本ならでの現象かもしれない。銀行預金のように「預けっぱなし」で終わらせてしまう人があまりに多い。これでは機会損失と言われても仕方がない。

もちろん、ステーキングもレンディングも、メリットばかりではなく、リスクやデメリット、提供銘柄、報酬率、途中解約の条件が各仮想通貨取引所によって大きく異なるといった注意点もある。本稿では、筆者の実際の利用体験から解説する。

以下は、ステーキングやレンディングを積極的に推しているSBI VCトレードを利用したケースでの紹介である。

まず、筆者がSBI VCトレードを選択した最大の理由は、大手取引所のなかでもステーキングが国内最多の14銘柄に対応している、という点だ。慣れてきたら自分でも積極的な投資できるような選択肢を残しておきたいという狙いもある。細かい部分でいえば、ロックアップ期間(資産を動かせない期間)なし・自動報酬(出典:SBI VCトレード公式サイト2025年)という点もチェックした。

また、入出金手数料は無料、最低投資額は1円からと敷居が低いといえる。このたりは初心者としては重要項目になるだろう。レンディングの最大年率が業界最高水準の20%であることも選択理由のひとつだ。SBIグループは銀行・証券・保険を含む総合金融機関として20年以上の実績があり、メガ金融グループの信頼性×仮想通貨の成長性を両立させる稀有な存在である。

仮想通貨は聞き慣れない用語も多く、通常の投資より専門性が高いように感じる。話題の取引所でも、実は起業したばかりの新興会社である、というケースも珍しくない。こういった「初心者に不親切」というあたりが仮想通貨の難しい要因である。そういった不安とリスクを回避するためには、何よりも「信頼できる取引所」を選ぶ、ということに尽きるだろう。

本誌では今後ともあらゆる角度から仮想通貨についてレポートしてゆく予定なので、楽しみにしていてほしい。

 

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