<行列の実態と人気>i-Phone6の行列の裏側にアルバイト中国人?

デジタル・IT

榛葉健[ テレビプロデューサー/ドキュメンタリー映画監督]

***

9月19日、「i-Phone 6」が日本各地で発売された。

予想通り、各店頭に長蛇の列が出来た。大フィーバーだ。だが、その実態は、多くのアルバイトが含まれている実態を 一部のニュース番組で伝えていた。

各テレビのニュースをよく見ると、行列の人へのインタビューの中に「たどたどしい日本語の人」がかなりいた。話し方の特徴からどうやら彼らは日本で暮らす中国人、 そしてスマホには無関心とおぼしき、高齢の人などだ。

実は、中国では本体価格が17万円~34万円と高額で、その価格差に目をつけて、代理購入して、中国で転売する仕事があるとか。 丸1日並んでいる男性は、 取材に答えた。

「日給1万5千円」

多くのテレビニュースやワイド番組は、「長蛇の列が出来ていて、すごい人気です!」といった調子で、煽る。だが、実態は必ずしも「人気」というだけではない。

以前、東京・麻布で 開店したばかりの飲食店にすごい行列が出来てブームが起きたが、実は親会社が派遣した「アルバイト行列」だったことが後に発覚した。大事件の裁判の傍聴券を巡ってものすごい行列が出来るケースも、大半は各メディアから請け負ったアルバイト。

そのため、自作自演になるといけないので、最近の番組では、「傍聴券を求める人が何千人もいます」といった馬鹿げた描写はしない。当たり前のことだが、現象の表面しか取材しないでいると、伝える内容は 物事の本質から離れていく。

取材者の感性と洞察力は、いつも問われている。

【あわせて読みたい】