厚労省所管の全国36の労災病院が「法定の障害者雇用人数」を水増してウソ報告

政治経済

高橋秀樹[放送作家]
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NHKなどの報道によると、独立行政法人「労働者健康福祉機構」が運営する全国36の労災病院が、噓の障害者雇用率を報告していたという。
独立行政法人の法定雇用率は職員数の2.3%(12年以前は2.1%)であるが、所管する厚生労働省によると、同機構は2012年、障害者雇用率が実際は0.94%だったのを2.12%、13年には1.42%を2.32%として、同省に「噓の報告」をし、法定雇用率を達成しているように見せかけていた。
最も差の大きかった10年の場合、実際の雇用者は83人で雇用率0.79%だったのに、国には雇用者192人、雇用率2.22%と報告していた。
この問題で、厚生労働省は11月17日、同機構を障害者雇用促進法違反(虚偽報告)の疑いで横浜地検に告発した。さらに、同時期に出向して機構の総務部長を務めた高崎真一大臣官房審議官と小山浩一労働政策研究・研修機構所長を18日付で更迭した。2人は「虚偽の数字と知っていて決裁した」と話しているという。
労災病院は、労働者の健康を守ることや、病気やけがをした労働者の早期の職場復帰などを目的に設立されたものであり、労働者のための病院である。
その本家本元で障害者雇用率の決まりを守らないとはどういうことなのか。率先垂範してしかるべきなのにこの調子では、民間での障害者雇用も進まないであろう。審議官という高級官僚にまでなった人物が、なぜ嘘と知りながらこれを容認したのか、厳しく調べることが必要であり、再発防止のために何ができるか具体的プランを早急に示して欲しい。
さらに、新聞テレビなどメディアもこの発表情報を垂れ流すだけでなく、その後どう改善されたか、事後をきちんと報道してほしいものである。
 
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