<全チャンネルの全ドラマを見てみた>視聴継続したのはフジテレビ「問題のあるレストラン」
両角敏明[テレビディレクター/プロデューサー]
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1月~3月ドラマをぜんぶ視てみました。その結果を筆者なりにまとめてみたいと思います。
売れっ子シナリオライター・遊川和彦さんは連続ドラマについて、
「1回目の視聴率は出演者の、2回目以降はライターの責任」
と言いました。女優(?)のYOUさんはこのお正月のNHKのテレビ番組で、
「連続ドラマの1回目は全部視て、2回目以降を視るかどうか決める」
と言いました。
そこで、筆者も「連続ドラマの初回をすべて視る」というチャレンジをしてみました。今回はNHK総合、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京の1月スタート・20時~22時台連続ドラマ20本を対象にがんばってみました。
初回を視て、2回目を視ることなく速攻脱落したのは以下の7番組です。
- NHK 『花燃ゆ』
- テレビ朝日『出入り禁止の女~事件記者クロガネ~』
- TBS『警部補・杉山真太郎~吉祥寺暑事件ファイル』
- TBS『まっしろ』 堀北真希・柳楽優弥
- TBS『美しき罠~百花繚乱~』
- テレビ東京『保育探偵25時~花咲慎一郎は眠れない!!~』
- フジテレビ『残念な夫』
まったくもって個人的理由で恐縮ですが、筆者にはつまらなかったし、2回目以降もおもしろくなりそうもなかった。いずれも視聴率があまり芳しくないようです。なお、テレビ朝日『相棒』は初回を視るまでもなく、筆者の好みではないことがわかっていますので、はじめから視ておりません。これは除外例というところです。
第2回、第3回と視て行くと、次回が楽しみなものと「視るのがやや億劫なもの」に自然と分かれてきます。徐々に視たり視なかったりとなっていったのは、以下の8本。
- NHK『全力離婚相談』
- NHK『風の峠』
- 日本テレビ『学校のカイダン』
- 日本テレビ『○○妻』
- テレビ朝日『DOCTORS3 最強の名医』
- TBS『流星ワゴン』
- フジテレビ『デート~恋とはどんなものかしら~』
- フジテレビ『ゴーストライター』
そして、結局のところ、元気に生き残ったのは番組はといえば、
- NHK『限界集落株式会社』
- フジテレビ『銭の戦争』
- フジテレビ『問題のあるレストラン』
- TBS『ウロボロス~この愛こそ、正義。』
の4番組となりました。この4本に、まったくの個人的な好みで順位をつけると、以下のようになりました。
- フジテレビ『問題のあるレストラン』
- フジテレビ『銭の戦争』
- TBS『ウロボロス~この愛こそ、正義。』
- NHK『限界集落株式会社』となります。
この中でも、もっとも楽しみなのは『問題のあるレストラン』の若手3女優です。よくも顔をそろえた売り出しの若手3女優の競演はなかなか見応えがあります。
アカデミー賞優秀主演女優賞の二階堂ふみ。「あまちゃん」でドラマブレイクしバラエティでも臆せず活躍する松岡茉優。朝ドラ「ごちそうさん」で歌唱力と演技力が注目された高畑充希。
いずれもフレッシュで達者です。とりわけ高畑充希は「最高の離婚」の脚本家・坂元裕二の手になる独特のセリフを得て、難しいけれども見せどころいっぱいのキャラを演じて躍動しています。当方、ドラマ素人ではありますが、これを視るだけでもおおむねご損はないと思います。もう残り回数が少なくなりましたがぜひどうぞ、とお勧めしておきます。
さて、ドラマは門外漢の筆者がなぜこのようなチャレンジをしたかというと、強い味方を手に入れたからです。全チャンネル録画機です。
これまでは視たい番組をあらかじめ決めてから録画していましたが、このハードは基本的に全番組を録画してくれます。(わが家は6つのチャンネルを1日10時間録画し8日間保存できる設定)
ほんの数年前までこうした機能を持ったハードはかなりレアで高価でしたが、もはや筆者のようなものでも手に入れられるようになりました。これがあるとテレビの視方が変わります。
視る可能性のある番組がほぼすべて収録されているのですから、どの番組をいつ視るかは自分の勝手、いわば編成権は自分にあるわけで超効率的にたくさんの番組を視ることができます。
このような録画機が普及してくると視聴者は今よりもたくさんの番組を視るようになるのかも知れませんし、一方でオン・エアーで番組が視られなくなるとテレビの媒体価値がマイナス方向へ変化するのかも知れません。
ネットなどの影響とこうした要素も含めて、テレビの視聴形態が変わり、それがテレビ業界に様々な影響を与えて行くことは間違いないでしょう。否が応でもテレビはここ数年で大きなカーブを曲がることになりそうです。
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