「めちゃイケ」の実力は有象無象の腐ったテレビ番組と同じレベルではないはずだ


高橋維新[弁護士]

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2015年6月20日放映の「めちゃ×2イケてるッ!」(フジテレビ・以下「めちゃイケ」)について。

前半は27時間テレビの番宣であり、ナインティナインと明石家さんまの絡みを放送していた。

明石家さんまは、番組が想定している企画やロケの趣旨を無視してでもおもしろいことを喋り続ける芸人である。

今回のめちゃイケでもさんまの動きはいつもと変わらなかった。番組側が撮りたいのは岡村隆史からさんまに「27時間テレビ」への出演をオファーする様子なのだが、さんまは直接関係ない岡村の女性関係の話を長々としゃべっていた。これが、素なのである。

このさんまの「素」は、いい面も悪い面も持っている。

いい面は明らかである。番組側が用意した企画(今回の場合は出演依頼トーク)がおもしろくないときでも、さんまの話術だけで強引に笑いをとりにいける。

他方、悪い面は表裏一体である。まず、さんまはどんな番組に出ても、どんなにスケジュールがタイトでも終始自分の話をし続けるので、収録が押す。そして、さっさと本題に入ってほしい視聴者からすると、延々関係ない話を展開されるためにうんざりしてしまう。

このデメリットに対して多少反論を加えておく。

第一点目の「収録が押す」というのは作り手の側の事情でしかない。さんまを用意するときはある程度長めに時間をとっておくことで対処が可能である。

第二点目についても、お笑いというのは、そもそも本題にはなかなか入らないものである。例えば、「不動産屋で物件を探す」という舞台設定の漫才やコントをやる場合、ボケ役が延々とボケることできちんと不動産を探せないのが通常である。逆に目的が達成され、いい物件が見つかってしまうと、話自体も終わってしまう。お笑いというのは、不可避的にそういうイライラを内包しているものなのである。現実で喜劇に登場するようなボケボケの不動産屋に出会ったら確かにイライラするだろうが、それをバカにして笑い飛ばすのが笑いという作用なのである。だから、さんまを見ているとイライラするというのは、そもそもお笑いがあまり好きじゃない人の意見のような気がする。お笑いが嫌いな人が「俺はお笑いが嫌いだ」と言っているだけだとすれば、話半分に聞いておくぐらいでいいだろう。

ただ、「半分」は聞いておく価値があるのも確かである。逆の見方をすれば、漫才やコントでボケボケの登場人物を扱うとき、脚本や演じ手の質が低いと、観客のイライラを呼び起こすだけで笑いが起きなくなってしまうということでもある。笑いの作り手は、その点は肝に銘じておいた方がいいだろう。

後半の「加藤浩次を元気にする」という企画は、「めちゃイケ」にしては練り込みが甘い。最近疲れているという評判の加藤を連れ回して漢方や精のつく料理を食べさせたり、鍼治療を施したりという内容だった。しかし、基本的には単純にそれだけだったので、ただの情報番組みたいであった。

一応、漢方店の店主がやたら加藤に絡んできたり、どう見てもインチキのサーモグラフィーの映像を出してみたり、豚の脳みそを嫌がる鈴木紗理奈に食べさせたりといった笑いの種はポツポツとばら撒かれていたのだが、全てが小粒かつ単発であって、深みがない。

全盛期の「めちゃイケ」であれば、加藤を元気にするという触れ込みは表向きのダミーの企画でしかなく、その中で何らかのドキュメンタリーコントを展開したはずである。

加藤が主人公の場合によくあったのは、表向きの企画趣旨とは裏腹に加藤だけひどい目に遭い、最後に加藤がキレてオチ、という脚本である(山本圭壱がいた時は、その後、キレた加藤を山本が止めようとして「極楽とんぼ」の喧嘩コントになり、それがオチになる)。

加藤だけひどい目に遭うというフォーマット自体は回数を重ねすぎで飽きられているので、本当にドキュメンタリーコントをやるとしたら中身は考える必要があるが、それにしたってただ漢方や鍼治療の模様を紹介するのであれば有象無象の腐ったテレビ番組と何ら変わりはない。もう一工夫しないとダメである。

あと、ジャルジャル・福徳秀介は、芸人ならばブタの脳みそをマジで嫌がっちゃダメである。福徳が本気で嫌がるから2回とも紗理奈に食べさせるという形でオトすしかなく、笑いがワンパターンになっていた。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。