<今こそ作家になって本を出せ>作家・新堂冬樹が「出版不況」に挑戦する驚きの「作家養成講座」を立ち上げ


メディアゴン編集部

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6月26日、出版取次の業界4位の大手・栗田出版販売が倒産し、民事再生法の適応を申請した。出版市場の近年の落ち込みは著しく、昨年は前年度比4.5%減の1兆6065億円。この落ち込み幅は、昭和25年以来、最大の落ち込み幅であるという。昨年、業界3位の大阪屋もIT企業・楽天が筆頭株主になったことなどは記憶に新しい。

出版業界をめぐる状況で良い話は聞かない。出版文化はこのまま地盤沈下してしまうのか? あるいは、全てが電子化してゆくことは不可避なのか?

出版市場が急激に低下しているとはいうものの、まだまだ大きな市場と影響力をもち、「ビリギャル」など、出版物から大きなブームが生まれることは珍しくない。書く側・買う側・売る側のすべてにおいて、「紙の本」にこだわりを持っている多くの人たちがいることも事実である。

そんな中、「血塗られた神話」「溝鼠」「カリスマ」「忘れ雪」など、数々のヒット作で知られる人気作家・新堂冬樹が出版不況に逆行する挑戦的な企画を立ち上げた。

新堂冬樹&安達本一『ハイパー作家養成講座』」と銘打ち、一般の素人から参加者を募って「プロの作家を養成する」という企画だ。現在受講者を募集しているが、キャリアや前歴・現在の能力は不問であるという。

「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」「SMAP×SMAP」「踊る!さんま御殿」など、数々の人気番組の企画・構成を担当した放送作家・安達元一氏とのダブルティーチングという組み合わせも異色だ。

それだけ見れば、「有名作家が小説講座を開くのか?」とも思える。もちろん、そんな企画であれば、カルチャースクールも含め、いくらでも存在している。しかし、今回の講座は「商業出版100%」と打ち出し、受講者が作品を書き上げることを指導するだけでなく、その作品を「紙の本」として商業出版するところが最大の狙いだという。

電子書籍でコストが限りなく下げて「読み物」をリリースができる昨今、「紙の本の出版」は大きなリスクだ。人気作家や著名人でさえも、売上の見込みが立たなければ、なかなか出版できないという状況で、「紙の本の商業出版」が前提となった今回の企画には業界でも驚く人は少なくない。

「紙の本の出版」「真の作家」にこだわった「ハイパー作家養成講座」を打ち出す新堂冬樹氏ご本人に直接その意図と狙いを聞いた。

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—- 現役作家による「創作講座」「文章講座」は少なくありません。しかし、出版不況といわれる今日、そういった文章講座や執筆スクルールではなく、「紙の本を出版する」ことを前提にした「作家養成講座」を開設する理由は何ですか?

[新堂冬樹]ネット小説、携帯小説などが普及するのと同時に、「小説家」と呼べないアマチュアの人々が手軽に物語をUPする時代になりました。私としては、「紙の本」で書店デビューすることの「価値観」をアピールし、「自称小説家」ではない「真の小説家」をひとりでも多く生み出したいという思いで「作家養成講座」を開設しました。

—- 「作家になること」と「文章力を上げること」の違いは大きいです。あえて受講者たちに商業出版を目指させる、作家デビューさせる、その道筋をつけることを講座を核にしている理由はなんですか?

[新堂冬樹]文章力があるからといって、小説家にはなれません。音楽大学の声楽科の生徒がどれだけ歌唱力があるからといっても、それだけではプロのアーティストにはなれません。俳優ワークショップでレッスンし素晴らしい演技力を身につけても、それだけではドラマや映画には出演できません。高い報酬を頂く「プロの世界」では、「個性」→「フック」(引っかかり)の有無が決め手となります。技術を上げる&磨くのが目的の受講生はうちには必要ありません。プロの小説家として・・・「エンターティナー」として通用するノウハウを私の経験を基に伝授していければと思っています。

—- 多くの連載を抱え、多忙な日々だと思います。そんな中で、あえて、新堂さんが受講者の作品ひとつひとつに添削をしてまで新人作家を養成したい目的はなんですか?

[新堂冬樹]先の返答と重複しますが、ネットや携帯サイトの「自称小説家」ではなく、伝統ある「王道の小説家」を生み出し、また、悪い意味での「王道」を破壊し、「文壇界」に「新しい血」を注ぎ活性化させたいのが目的です。

—- 本が売れない時代です。そんな時代に「本を出版する」ということを目指すとは、どういう意味があるのでしょうか? 売上飲み込みが立たなければ、有名人でさえ、なかなか紙の出版ができないような状況と言われています。例えば、それまで本を書いたことがなような「ズブの素人」でも商業出版まで到達はできるのでしょうか?

[新堂冬樹]「本が売れない」と言われていますが、ベストセラーになる作品は現在でも多々あります。ただ、昔よりも売れるものと売れないものの差が開いた感があるのは否めません。しかし、「個性」ある作品を完成させればベストセラーを生み出すのは十分に可能です。どんなベストセラー作家でも、最初は「ズブの素人」なのでもちろん商業出版は可能です。

—- 企画を通して、受講者ならずも、広くメディアに伝えたいこと、出版文化の可能性について、新堂さんの想いを聞かせてください。

[新堂冬樹]「斬新なテーマ」「個性的な文章&構成」であれば、ベストセラー作品を生み出すのは可能です。私は、アイディア=独創性次第で、出版文化はまだまだ未開拓な「魅力的な土地」が存在していると感じております。

(以上、インタビュー)

講座の受講者定員は50名に限定しているというが、果たしてこの中から何人の作家が誕生するのか? 作家として、出版不況といわれるメディアの現状に、現役人気作家は一矢報いることができるのか。今後の動きに注目したい。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。