<パリ同時テロ報道>土日の報道量の少なさと対応の遅さはテレビ局のスタッフ不足が原因?


影山貴彦[同志社女子大学 教授/元・毎日放送 プロデューサー]

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パリ同時テロに関する報道について、テレビ、特に民放の土曜および日曜の対応が不十分であったとネットを中心に批判が集まっている。

筆者も、この批判についてはもっともなことだと思う。新聞の紙面の費やし方を見るまでもなく、日本に住む視聴者の多くが、今最も放送の時間を割かなければならないのは、パリで起こった大きな事件に関することだと認識していたはずだ。

ところが、民放各局は定時のニュース、およびレギュラーの情報番組で、この事件について伝えるのみで、報道特別番組等を編成することはなかった。元よりニュースに費やす時間の少ない、土曜、日曜の各局の編成である。

そんなところが視聴者の不満となって現れたに違いない。週が明けてからは、情報ワイド番組などは、多くの時間をかけて放送し始めていることだろうが、今回の対応の遅さはいかにもお粗末だった。

逐一データを集積したわけではないことをお許しいただきたいのだが、大きな事件、事故は週末に起こる可能性が高いように思えて仕方がない。筆者の気のせいかもしれない。いや、もしかするとその気のせいは、土曜、日曜のテレビ局が人員的に手薄になっていることに起因しているのではないか。

大きな出来事が社会で起こっているにも関わらず、その受け皿となり得る、番組およびスタッフが十全でないことが、視聴者のフラストレーションに繋がっているのではないかと考えるものだ。

そこでひとつの提案をしたい。現場の局員を中心に、土曜、日曜に休日を固めている現在のスタイルを改め、完全にローテーション勤務にしてはいかがだろう。

昨今、労働者の超過勤務の是正が叫ばれている。無論、言うまでもなく、ひとりひとりの労働時間を長くせよと申し上げているのではない。

ローテーション勤務を徹底させることで社員たちの休日の曜日をフレックスにするのである。そうすることで、テレビ局の番組編成はより柔軟になる。たとえば、「土曜、日曜にこそ生放送番組が数多く並んでいる」となれば、視聴者は結構ワクワクするのではなかろうか。

かつてはデパートやスーパーマーケットも毎週定休日を設けているところが少なくなかった。それぞれの企業が生き残りを賭け工夫し、社員、スタッフの負担を増加させることなく、より良い顧客へのサービス向上に務め、定休日を減らしたのだ。テレビ局はマスメディアであると同時に、紛れもなくサービス産業のはずである。

視聴者に訴求する柔軟な番組作りの秘訣は、実はこんなところにヒントが隠されているのではないか、と、今回のことで強く思っている次第である。

 

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影山貴彦

影山貴彦(かげやま・たかひこ)同志社女子大学 学芸学部情報メディア学科・教授。早稲田大学政治経済学部卒。専門は「メディアエンターテインメント論」。毎日放送(MBS)プロデューサーを経て現職。日本笑い学会理事。著書に「テレビのゆくえ」「おっさん力」「百恵讃」「社会人大学院生入門」など。