<「めちゃイケ」の編集がヘタすぎる?>最近の「めちゃイケ」に感じる「スタッフ劣化」の疑念


高橋維新[弁護士]

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2016年1月30日放映のフジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!(めちゃイケ)」でメインを張ったのは、「サリナンデス」という「ヒルナンデス!」のパロディ企画。

「サリナンデス」は、「めちゃイケを女子にも見てもらうようにする」というコンセプトの下、鈴木紗理奈と小林麻耶を司会に据えて、女子力を上げるための食事・衣服・メイクなどを紹介するという触れ込みの企画である。

もちろん、これをそのままやればパロディ元の「ヒルナンデス!」のような生活情報番組になってしまい、一切笑いが生まれない。ここから、どうやって笑いを生み出すかが腕の見せ所である。

やり方は、色々ある。本流のパロディであれば、ヒルナンデスのおかしなところを皮肉ってバカにするような構成になる。ただし、「めちゃイケ」のいわゆる「パロディ企画」は、コーナー名を既存の他の番組などから文字って駄洒落にしているだけで、中身自体はこのような正道のパロディではないことの方が多い。

例えば、「かま騒ぎ」も、パロディ元の「から騒ぎ」を皮肉ってバカにして笑いをとっているわけではなく、芸人たちのどぎつい暴露ネタで笑いをとるコーナーである。

正道のパロディは、小さい者が大きい者をバカにするからこそおもしろい側面があり、すでに「大きい者」になってしまった「めちゃイケ」がこれをやっても笑えない場合の方が多い。

ではどうするか。

「めちゃイケ」なら、女子がやりたいことをやろうとして始まった企画なのに、男子メンバーに邪魔されたり邪険に扱われたりして、結局思い通りにならないという形で笑いをとってきただろう。現に番組冒頭のフリは、このような展開を予想させる内容になっていた。

他にも、女子力が低い男子メンバーをバカにするだとか、男子メンバーの中で女子に味方する者が出てきて男子メンバー同士で喧嘩になるとか、以前のテスト企画で喧嘩していた紗理奈と小林麻耶にまた喧嘩をさせるだとか、色々とパターンはあり得た。

今回の問題は、これらのパターンをほとんど全部詰め込んで、全体的な企画趣旨がぼやけたことである。

番組が始まると、向かって右に女性陣が、左に男性陣が座っている。双方とも「めちゃイケ」メンバーとゲストの混成チームである。紗理奈が、「女子力アップ」という今回の企画趣旨をMCの立場で説明する。

これを聞いた男性陣は、「そんな必要はない」というスタンスでブーたれる。この時点で、「女性陣がやりたいことを邪魔されて全然できない」というドキュメンタリーコントの片鱗は見られたのだが、結局この片鱗は片鱗のまま終わってしまい、「女性陣がひどい目に遭う」というタイプの笑いはほとんど残像程度のものしか出てこなかった。

番組が進んでいくと、女性陣が進行そっちのけで女子力アップの話題で盛り上がるという展開や、クイズでひどく女子力の低い答えを出す男性メンバー(主にナイナイと加藤)というくだりや、その結果女性メンバーから顰蹙を買って喧嘩になるというパターンが見られ、他方で(本来ナイナイや加藤の味方をして然るべき)渡部や神田がクイズに正解して女子に褒められ、ナイナイや加藤とケンカになるという一幕もあった。

そのうえで今度は(本来女性メンバーの味方をして然るべき)小林麻耶がナイナイにフォローを入れて、紗理奈をはじめとする他の女子から「媚びている」「あざとい」などと文句をつけられ喧嘩になるというシーンにもつながっていった。

要は、色々な種類の笑いをやりすぎで、統一的なコンセプトが全くないのである。だからこそ、単発的な笑いは起きるが、何を集中して見たらいいのかがよく分からなくなって、映像がぼやけてしまう。単純に、企画の練りが足りない。

その練りの足りなさは、出演者の構成の時点で既に現れている。そもそも女性メンバーはいる必要性のよく分からない面子が多く、あんなに用意する必要があったとも思われない。

現に「めちゃイケ」メンバー以外の言動はほとんど放送で使われておらず、オンエアでのパフォーマンスは褒められたものではない。基本的には座っているだけで、上記のような男性メンバーとの喧嘩や、小林麻耶との喧嘩というコントにもあまり絡んでこないのである。

そうかと思えばLUNAのようなイジられ要員もいて、岡村などからフワッとイジられることとフワッと笑いが起きるのだが、単発的であって全体的なコンセプトとの関わりはよく見えてこない。ギャラに金を使うぐらいなら、もっと他のところに使うべきである。

男性メンバーも、前述の通り女子力の低い面子と高い面子が混ざっており、女性メンバーと喧嘩をさせたいのか、男性メンバー同士で内輪揉めをさせたいのかがよく分からない。

なぜこんなことになったのだろうか。これは筆者の推測だが、コンセプトを一つに限定してしまうと、そのコンセプトで生じた笑いだけで撮れ高が十分に生じるかどうかが心配だから、あれもこれもと詰め込んで結果よく分からなくなったという印象が拭えないのである。

筆者が抱いたこの印象が正解だったとしたら、完全にやっていることが素人である。それはすなわち、スタッフが正しい笑いを考えられなくなっているとともに、自分の考えた「笑い」に自信を失くしているということであって、非常に危険である。その状態が続くと、迷走した末に番組が終わってしまう。

こう考えた根拠は一応ある。今回は、個別の演出や編集で今回も褒められないシーンが2つあったのである。

まず、2本目のロケのVTRである。紗理奈と重盛が服屋に行き、紗理奈が重盛をコーディネートするという内容だったが、ただただ「ヒルナンデス」や「王様のブランチ」のように真面目にコーディネートをしており、笑いが一切なかった。

1本目のロケと3本目のロケは、オアシズとたんぽぽという芸人が出ていたのでロケの中にもちょこちょこと笑いがあったのだが、本当に何一つ笑えるところがなかった。芸人ではない紗理奈や重盛にそれを期待するのは難しいという声もあろうが、だとしたら単なるフリとしてしか使えないので、あのVTRにあんなに時間を割いてはいけない。

もう一つは、3問目のクイズである。2問目のクイズの後に、女性メンバーが「!マークや小さい文字を入れると女子ウケがいい」という趣旨の発言をしており、実際に加藤と矢部が3問目でこのアドバイスをそのまま実践した結果、「浅い」などとイジられていた。

ここまではいいのだが、問題は、フリとしての役割を果たす上記の女性メンバーの発言が、3問目の回答発表の直前に割り込まれるという編集になっていたことである。これでは、視聴者が「このフリは何か意味があるのだな」と考えてハードルが上がってしまう。

きちんと2問目の回答発表後のくだりに自然な流れでこの発言を入れておけば、視聴者はこのシーンをさほど意味のあるものだと考えないため、フリが潜在化する。もっと分かりやすく言えば、加藤や矢部のボケた回答を発表するときに、時間経過によって2問目のフリのことを表面的な部分では忘れている(=言われなければ思い出せない)視聴者に、奇襲を仕掛けることができるのである。

無論、ここまでヘタクソな編集もなかなか見ないので、何かこのような編集にしないといけない事情があったのだとは思いたい。

ただ、最近の「めちゃイケ」を見ていると、単純にスタッフが劣化しているのではないかという疑念が払拭しきれないのが怖いところなのである。

こんな出来を続けていると、次の改変期で間違いなく整理されてしまうだろう。まあ、こんな出来でしかできないのであれば終わってもらって構わないのだが。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。