<日本人の弱いところを突かれた?>ショーンK 詐称疑惑の学歴にある妙なリアリティ

エンタメ・芸能

メディアゴン編集部
***
またしても、すっぱ抜いたのは週刊文春である。
同誌がフジテレビで4月から始まる報道番組「ユアタイム」の司会に決まっていた、自称経営コンサルタントのショーンKことショーン・マクアードル・川上氏に学歴詐称疑惑があると報じた。
テレビ各局には早刷りといって、前夜に発売前の週刊誌が届く仕組みがあるのでこれを使って、各ワイドショーが、記事を広げる。
週刊文春は甘利元大臣の疑惑を始め、SMA事務所首脳実名告白、ベッキー&ゲス川谷不倫騒動など、世の中の耳目を集めるスクープを連発している。発表に頼らない調査報道が徹底していることに関しては新聞やテレビメディアを圧倒している。
朝日新聞社「AERA」などは、「なぜこんなにスクープを連発するのか」というインタビューを新谷学・週刊文春編集長に対して行っている。この自虐記事は面白かった。
毎週、週刊文春を読んでいるとわかることだが、新谷編集長が休養している期間の週刊文春は「ひどくつまらない」という印象がある。スクープの連発は新谷編集長が復帰した後からである。
指令塔の優劣というのは雑誌やテレビ番組レベルの人数を指揮するときにどうしても必要なことであるのだと思う。
また「報道ステーション」(テレビ朝日)は、発売前の週刊文春の記事「TPP立役者に重大疑惑 甘利明大臣事務所に賄賂1200万円を渡した」の内容を許可なく使用し報道した、として抗議されている。
さて、筆者がショーンK氏を初めて見たのは、その「報道ステーション」のコメンテーターとしてである。コメント内容についてはどうこう言うまい。第一印象は「こう言う人物をどこで見つけてきたのだろう」というのが率直な感想だった。外国人でありながら、東洋的な面差しもある。甘いマスクのいい男だ。何者かよく分からないものの、そう感じた人は多いのではないか。
それよりなにより低音で、押しつけがましくない美声。中高年にはおなじみのTOKYO FMの名ラジオ番組「ジェットストリーム」の城達也さんを彷彿とさせる。
テレビ局は自社で、キャスター、コメンテーターを育てる努力を怠ってきたために人材不足になっている感は否めない。外部に人を得ようとする努力も足りていないようにも思う。
ショーンK氏を初めて見た時は、「さすが視聴率のよい『報道ステーション』だ。人捜しも頑張っているんだな」と素直に感心したテレビ関係者は少なくないはずだ。
そしてその人気にフジテレビが飛びついた、というのが今回の図式であろうか。ところが、ショーンK氏がテンプル大学で学位をとり、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAをとり、パリ第一大学に留学したと言う公式サイトの掲載情報が虚偽だというのである。
これが詐称だとすると、経歴の作り方には少し笑ってしまう点もある。また、『騙されても仕方がないか」と感じてしまうリアリティもある。
まず、テンプル大学はそれほど難しい大学ではないが、ハーバードとパリ第一大学は入学するのが言うまでもなく難しい。世界最高峰の難関大学である。このあたりは実に絶妙だ。つまり、

「ああ、この人は学歴ロンダリングしたんだな」

と感じられるところにすごくリアリティがあるのだ。わかりやすく日本の大学にたとえれば、誰でも入学できる低偏差値のいわゆる「Fランク大学」に入学し(一念発起したと仮定して)、卒業後に名門大学の大学院に入学し、それでは飽き足らず、他の名門大学にまで行ってしまう・・・というようなイメージだ。学部では最難関でも、大学院に関していえば、入りやすい名門大学は多い。
「最終学歴は東大です」というような経歴をアピールをしている人で、その実、大学院にロンダリングしているパターンはメディア業界でもよく目にする。メディアへの露出がイメージビジネスである以上、「経歴を飾る」ためには最適なテクニックだからだ。
今回の件は、フジテレビは率直に言って「身体検査がなっていなかった」と言うことになるが、外国人に、日本人の弱い所を突かれてまったという印象もある。日本国内でもよく分からないのに、海外の学歴となれば、なお分からない。
自民党の議員公募も始まるが、これで身体検査が厳しくなるのは必定だろう。余計な雑音にだまされず議員選びが出来ることは良いことでもあろう。政治家に限らず、学歴などは、本来、その人の能力とは無関係であるはずだ。しかし、学歴以外でその人を客観的に評価する方法がなかなかない、とうのも事実だ。
手癖が悪くないかどうか、バカではないか、あるいは虚偽癖がないかなどを見抜く良い方法はないのだろうか。
 
【あわせて読みたい】