スーパーで子供に「ママ、これ買って」と泣かれたらどうすべきか?


茂木健一郎[脳科学者]

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お母さま方に質問されることがある。子どもには我慢をさせた方がいいですか、と。たとえば、ご近所のスーパーに行って、そこにある玩具を買ってくれ、と泣く。ぼくは「そんなもの、買ってあげたらいいんじゃないですか」と答える。

マシュマロテストというのがある。

目の前にマシュマロがあって食べるのを我慢できた子は、後に人生でいろいろうまく行くというデータもある。しかし、すべては文脈依存なので、そのことを忘れてはならない。

「ママ、これ買って」と言って泣く子だって、見知らぬおじさんに「これ買って」というわけではない。保育園や幼稚園ではがまんすることも多いだろう。スーパーで「ママ、これ買って」と泣いているのは、つまり、母親との愛着で、甘えているのである。甘えさせてあげればいいと思う。

その結果、家に似たようなおもちゃがたくさん並ぶかもしれない。そしたら、おもちゃを並べて、その多様な風景から、子どもに何かを感じさせれば良い。スーパーでがまんさせることよりも、そのような気付きの方が大切だと思う。

【参考】「天才」とは大人になっても5歳児の自由さを保っている人

それに、こんなこともあるのである。

「我慢すること」は、関心のある世界が広がって、「欲しいもの」の対象が遠くになるにつれて、自然に本人にもできるようになる。何しろ「欲しい」と思っても、近所のスーパーには売っていないのだ。

ぼくは子どもの頃、蝶を追いかけていたけれど、そのうち、ドイツの「ザイツ」という図鑑があることを知った。図鑑の世界の最高峰らしい。あこがれて、欲しいなあ、と思ったけれども、もちろん手に入るはずがない。

もう少し身近では、サンダーバードの秘密基地、というのもあった。島があって、そこに2号とかあるのだ。広告で見て、ほしいな、と思ったが、母親が近所のおもちゃ屋さんに行っても、売り切れでなかった。仕方がないから、絵を見てがまんしたのを覚えている。

つまり、子どもの関心が広がるにつれて、どうせ、すぐには手に入らないものが増えてくるのだから、近所のスーパーで売っているものを、その場でせがまれたら、それくらい買ってあげたらいいんじゃないですか、というのがぼくの考え方である。それで、わがままな子に育つとは、ぼくには思えない。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。