東京都の大半が「原発ゴミの最終処分場」の候補地だ

石川和男[NPO法人社会保障経済研究所・理事長]
***
「原発ゴミ」の最終処分地はどこになるのか
原発ゴミとは、原子力発電に伴って発生する「高レベル放射性廃棄物」のこと。それ自体は、放射能が高く非常に危険な廃液なので、高温のガラスと溶かし合わせてステンレス製の容器に注入して封じ込める。これが「ガラス固化体」。
最終処分とは、ガラス固化体を地下深くの安定した岩盤に埋設し、人の手に頼らずそのまま隔離し続けることで、『地層処分』と呼ばれる。世界各国とも、この方法を採用する。
今年7月下旬、経済産業省は、地層処分を行う場所を選ぶ際にどのような科学的特性を考慮する必要があるのか、それらは日本全国にどのように分布しているか、といったことを分かりやすく示す「科学的特性マップ」を公開した。
北朝鮮のミサイル発射・核実験など緊迫した問題や、加計学園の獣医学部新設を巡るワイドショー的に面白おかしい話題がなければ、この科学的特性マップは政治やマスコミに大々的に取り上げられていたことだろう。
これは要するに、最終処分の「候補地」としてどこが適当な場所かを示すために日本地図を色分けしたもの。候補地は、次のように四つに分類されている。

(1)好ましくない特性があると推定される地域(地下深部の長期安定性等の観点)

(2)好ましくない特性があると推定される地域(将来の掘削可能性の観点)

(3)好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域

(4)輸送面でも好ましい地域

簡単に言えば、(1)と(2)に該当する地域は候補地になりにくいが、(3)か(4)に該当する地域は候補地になりやすいということ。候補地のなりやすさの順位は(4)>(3)>(2)>(1)。候補地は郊外や過疎地だろうと思う人が多いかもしれないが、そんなことはない。
なんと、東京の場合、ほぼ全ての市町村(26市、3町、3村)は(4)か(3)に該当し、23区の多くも(4)に該当する。
では実際、首都・東京は候補地になり得るだろうか?
政治的には大問題かもしれないが、技術的には十分に候補地になり得る。要は、都民や首長がやる気になるかどうかだ。将来、原発を正しくやめていくには、原発ゴミの最終処分地を現世代の責任で決めておく必要がある。何でもかんでも反対を叫ぶだけでは、脱原発は進まない。
【参考】「政策選択選挙」の争点は戦争・原発・格差拡大
最終処分されるガラス固化体は、安定した物質だ。爆発性もなく、臨界(放射性物質が核分裂を起こして大きなエネルギーを発生すること)を起こすこともない。直径40cm、高さ1.3mの筒型で、総重量500kg。製造直後での表面の放射線量は高いが、最終処分地に搬入されるのは、十分に放射能レベルが下がってからのこと。
最終処分地として必要な規模は、地上では1~2平方キロメートル、地下では深度300m以上の所に6~10平方キロメートル程度の広さであれば十分。
地上1~2平方キロメートルとはだいたい、東京ディズニーランド2~4個分、東京ビッグサイト4~8個分、日比谷公園6~12個分、六本木ヒルズ10~20個分、国会議事堂10~20個分、昭和記念公園1個分、横田基地の1/3~1/7個分など。
ただ、これは日本全国の分。東京の分に限れば、これほど大きな敷地は不要だろう。
そもそも最終処分施設の建設は、技術的にはそれほど困難ではなく、いかなる原子力関連施設よりも安全。大規模な公共事業として雇用を生み、地域経済を潤す。本来ならば、自治体が誘致合戦を競うようなことなのだ。
実際、フィンランドやスウェーデンでは、自治体間で誘致合戦になった末、最終処分地が決まった。
東京都民はこれまで、東京電力の原子力発電所(柏崎刈羽(新潟県)、福島第一・福島第二(福島県))で作られた電気も大量に消費してきた。原発立地自治体の多くは、「既に発電で貢献してきたのだから、廃棄物はよそでお願いしたい」と言っている。こうした複雑な感情の背景にあるのは、消費地側がエネルギー安定供給のありがたみに無関心であり続けてきたこと。
電気の大量消費地の責任として、東京都民も小池百合子東京都知事も、原発ゴミ最終処分地の都内誘致を真剣に検討すべきである。自分のところに是非とも誘致させろ! 叫ぶ自治体の首長や議員が日本各地に現れたとても、全然おかしな話ではない。
 
【あわせて読みたい】