<キングオブコント2017>コント界も「保守」と「風」の戦い?

テレビ

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
***
総選挙はいつも自民党と「風」の戦いである。10月の総選挙は風が吹きそうな気配があったが、乱気流が吹き始め、風による打倒安倍自民党は叶いそうもなくなっていく情勢である。
10月1日に放送された今年の「キングオブコント2017」(TBS)も、同じく定型保守コント対「風」の勝負となったようだ。以下の10組の中から5組が選ばれて検証に進む。

わらふぢなるお、ジャングルポケット、かまいたち、アンガールズ、パーパー、さらば青春の光、にゃんこスター、アキナ、GAG少年楽団、ゾフィー

審査員はバナナマン(設楽統・日村勇紀)、さまぁ〜ず(三村マサカズ・大竹一樹)、松本人志。一人100点満点をもっている。彼らは点数を出すが、なぜその点数であるか理由はほとんど言わない。
自分が面白かったかどうかで審査しているからで、それはそれで正しい方法だが、コントに関して文法を持っていそうなのは松本人志だけである。松本はテクニカルな指摘も出来るであろうが、言わない。言わないのはそのテクニカルな笑い製造法は自分にしか(浜田雅功にでもなく)出来ないと思っているからだろう。
【参考】「キングオブコント2016」で見せた「タイムマシーン3号」の可能性
筆者も審査員になったつもりで点数を付けながら番組を見た。まあ、そう言う見方をする視聴者はほとんどいないだろう。()内は筆者の採点である。
<一回戦>

*わらふぢなるお(85点)動きがない。

*ジャングルポケット(89点)設定は良い。このありえない設定を乗り切るには演技力が足りない。

*かまいたち(90点)顔がマイナーであるがそれは売れれば何とかなるか。

*アンガールズ(83点)持っているキャラやフラで笑いを取るのは正解。

*パーパー(80点)よく分からないが笑うところはあった。

*さらば青春の光(87点)芝居がうまくなっているが。

*にゃんこスター(75点)今回の「風」である。これはコントではない。決勝戦に進んで同じネタだったら、どうするのか。

*アキナ(85点)決勝に進めて次のネタが見て見たい。

*GAG少年楽団(80点)筆者には分からない。

*ゾフィー(82点)なかでは一番芝居が出来ている。

このウチ、松本人志ら芸能人審査員の高得点を得て決勝に進んだのは、以下の5組である。点数は審査員の採点である。
<決勝戦出場のコンビ>

*にゃんこスター(初出場)466点

*かまいたち(2年連続2回目)464点

*さらば青春の光(2年ぶり5回目)455点

*ジャングルポケット(3年連続3回目)452点

*アンガールズ(初出場)452点

筆者の採点ではにゃんこスターが落ちて、アキナがファイナル入りという違いだった。最後は今回の「風」にゃんこスター(最終2位)と定型コントかまいたち(優勝)の得点争いになった。
旧コント界に属する審査員、バナナマン(設楽統・日村勇紀)、さまぁ〜ず(三村マサカズ・大竹一樹)、松本人志の5人が得点を与えたのはかまいたちである。松本は「イタチが猫に勝った」と笑いにしていたが、これは「コント保守が風を吹かそうとしたものを退けた」ということだろう。
風を吹かせた2人(にゃんこスター)は消耗品として何度かテレビに使われるだろう。
 
【あわせて読みたい】