メディアは安倍自公・小池希望・反安倍共闘を均等に扱え -植草一秀

政治経済

植草一秀[経済評論家]
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総選挙は「自公」「希望」「反自公」の三極の構図で展開されることが明確になった。したがって、主要メディアは、この三者に対する報道に不公平が生じぬよう配慮すべきであるし、市民はメディアの偏向報道を厳しく監視しなければならない。
メディアは「自公と希望の対決」という「印象操作」を行っているが、自公と希望の間に本質的な違いはない。自公と第二自公と表現するのが適切である。
希望の党代表の小池百合子氏は「第二の自民だという声があるが」との記者の問いに対して、「第一を目指す」と明言した。つまり、自民と同一であることを自ら認めたわけだ。
したがって、選挙の図式は「自民安倍派」「自民小池派」「反自公」の三極による対決ということになる。
立憲民主、社民、共産は基本政策をほぼ共有する。これが「反自公勢力」ということになり、メディアは、自公、希望と同等の比重でこの第三極勢力を報道する必要がある。過重に希望報道を展開することは、放送法の「政治的公平」の原則に反する違法行為である。
希望の党が民進党前衆議院議員の篠原孝氏を公認したが、その後に取り消した。希望の党は民進党からの立候補申請者に対して「政策協定書」なる文書に署名、捺印させた。
この「政策協定書」への署名、捺印を篠原氏は拒絶した。毅然とした対応であり、思想、哲学を重んじる政治家として正しい行動である。「政策協定書」という名称だが、内実は「誓約書」である。
この内容の問題は以下の三箇所だ。

2. 現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。
4. 憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。
8. 希望の党の公約を順守すること。

希望の党が公約を決定していない段階で、「公約を遵守すること」というのにはあきれる。篠原氏が署名を拒否したにもかかわらず希望の党が篠原氏を公認したのは、篠原氏の選挙区有権者からの支持が極めて強いからである。
当選が見込まれるから署名を拒絶したのに公認した。そして、篠原氏が希望の党から立候補を拒絶したために、あわてて公認を取り消したのである。
民進党は野党4党で、戦争法制=安保法制の廃止を求める政策合意に調印して選挙共闘を行ってきた。ところが、今回の「政策協定書」ではこの点が覆されている。
当初の文案は、

「2.限定的な集団的自衛権の行使を含め安全保障法制を基本的に容認し、現実的な安全保障政策を支持すること。」

であり、「政策協定書」が意味する内容がこれに該当することになるだろう。民進党内部で民主的な手続きも踏まずに前原氏は希望の党への合流を決め、政策協定に同意できない議員が出て、新党が結成されてことについて「すべては想定の範囲内」と述べたことは許されることでない。
憲法・戦争に関して、希望の党は自公とまったく同一であり、安倍政権の「日本を「戦争をする国」に変質させる」ことに希望の党は賛同するということになる。
選挙区選挙で「安倍自公」「小池希望」「反安倍野党共闘」がそれぞれ候補者を擁立する場合、反戦・反核・反貧困の立場に立つ主権者は、反安倍野党共闘勢力に投票を集中させるべきである。
この方針を広く、すべての主権者に浸透させてゆくべきだ。

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