街角インタビューにさえ国家が介入してきた「2014年」という年を記憶にとどめよ


山口道宏[ジャーナリスト]

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昨年2014年は「岐路の年」だった。

「特定秘密保護法」「集団的自衛権」「原発再稼働」・・・。どれをみても戦後民主主義の否定に基づいているものばかりだ。世界で唯一の被爆国が戦後歩んだ不戦の69年の歴史を、わずか1年で自らが土台から打ち崩したことに対し、日本を「ヘンな国」と、海外メディアが見る目は冷ややかだ。

「一票の格差」で違憲とされる選挙(弁護士グループが一斉に全国で提訴中)ながら、また「ネギ」も「うちわ」も「SМ」も「買春」などで世間を賑わせた疑惑議員たちも、堂々の当選。「みそぎは終わった」と言わんばかりに、赤絨毯を闊歩できるから不思議にみられてもやむを得ない。

しかし全ては「事件」に他ならず、いまだって検察と警察の出番である。

ここに、今回の衆院選時のマスコミ各社に対して政府与党が出したという文書がある。

「平成26年11月20日 在京テレビキー局各社

 編成局長殿 報道局長殿

 自由民主党筆頭副幹事長 萩生田光一  報道局長 福井 照

 選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」(本文略)

申し入れにはこんな一文。

「街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたい」

ある局では、恒例の新橋駅前のインタビューで「アベノミクスなんて全然効果を感じない」「ボーナスなんて大企業だけのこと」「集団的自衛権は・・・」「原発は・・・」と語る多くの市民の声を編集で消したとも聞く。インターネット上では「テレビの監督権を持つ総務相が怖いのか」「嫌がらせがあるのか」と非難ごうごう。マスコミ各社が自主規制では「権力の監視役はいずこへ」と、当然に手厳しい。

「(歴代政府から)こんな申入れはなかった」(民放幹部)

であるという。歴代のマスコミ人の方が嘆いている。マスコミは政府の広報ではない。そう考えれば、今回の「申し入れ」は、れっきとした圧力文書である。それ自体が国家の驕りによる明らかな編集権の介入であり、受けた側は抗議と同時に公開すべきものだ。

 

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山口道宏

山口道宏(やまぐち・みちひろ) ジャーナリスト、星槎大学教授、NPO法人シニアテック研究所理事長