<キャスティング?それとも企画?>死に体となった「めちゃイケ」は山本圭一の復帰で生き返るのか?


高橋維新[弁護士]

***

「山本圭一(元・極楽とんぼ)を『めちゃ×2イケてるッ!(フジテレビ)』に戻してほしい」というのは、巷間よく聞く言説である。これとセットで、「新メンバーを全部クビにしろ」という言説も盛んに喧伝されている。

山本を戻すと今の死に体となったと言われる「めちゃイケ」は復活するのか。結論から言えば、私は山本の復帰だけではどうにもならないと考えている。現在の「めちゃイケ」が抱えている問題は、山本1人で解決できるような単純なものではない。

山本の降板は2006年7月である。ちなみに、岡村隆史が休養に入ったのが2010年7月で、同年11月に新メンバーが入るとともに岡村が復帰している。「めちゃイケ」は、山本がいなくなってからもう8年続いているのである。

山本は、紛れもなく岡村とともにめちゃイケの2大ボケを張っていた。岡村のみではワンパターンになりがちなボケに、アクセントを加えていた。強みは、何と言っても「デブ」という強烈な「フラ」(笑いの対象になるような、外見的な面白みや明白な特徴)を持っていることである。何のフラもない加藤浩次とよゐこの2人は、爆発力では岡村・山本の2人に適わない。

「めちゃイケ」では他に、「ブス」のフラを持っている光浦靖子と大久保佳代子がいる。しかし、この2人の最大の弱みは「女性である」ということだ。女性なので、「めちゃイケ」特有のきついイジメ方をすると、視聴者に「かわいそう」と思わせてしまい、笑いが遠ざかってしまうのである。2人は、基本的には、ブスが活かせるような企画が生まれたときのためにキープされているだけの演者である。

さて、2大ボケの岡村と山本だが、どちらがより大きな役割を担っていたかといえば、当然、岡村である。山本がメインを張っていたのは、「スモウライダー」「山奥」といったあくまでサブ的な位置づけのコーナーに過ぎない。もちろん、2人には、共通点が多い。強烈なフラを持っているうえに、動けて、踊れて、歌える。芝居もできる。全体的に多芸だが、どちらかといえば「話芸」より「動き」で笑いをとるタイプである。

山本も、岡村より能力が劣っていたからサブに回されたというわけではないはずだ。山本がサブに回っていたのは、あくまで「めちゃイケ」が岡村を主役に据えて始まった番組だったからであろう。

山本が抜けて、岡村の負担が増したのは確かであろう。岡村の露出度が増えてアクセントが減り、笑いが昔よりワンパターンになったのも事実だ。それでも番組は8年続いたのである。単なるアクセントであれば、山本以外にもできる。加藤でも光浦でも大久保でもいい。レギュラーですらなくていい。江頭2:50でも、エスパー伊東でも、その回限りのゲストでもできるはずである。

そもそも「山本を戻せ」という言説は、新メンバーというものが入ってきてから盛んになってきたように思う。山本が消え、2010年7月に岡村までもが休養に入り、「めちゃイケ」はいよいよ屋台骨を失った。これをなんとかするために加入させられたのが新メンバーであるが、岡村が思ったより早く復帰したために、役割がよく分からぬまま宙ぶらりんの状態になっている。

とはいえ、岡村の休養がもっと長引いていたら、「めちゃイケ」は確実にもっと早く終了していただろう。新メンバーの加入から1年も持たなかったと思う。それほど、新メンバーのパフォーマンスは期待外れであった。だから、新メンバーなんかより山本を戻せという言説が勢力を増してきたのであろう。

よって、「めちゃイケ」ファンとして、視聴者としては、山本1人を戻すかどうかよりも、今後の「めちゃイケ」のキャスティングをどうするかを全体的に考えてみたい。

まず、岡村はいる。これは当たり前である。そして相方の矢部浩之。矢部浩之は「芸無し」という評価を受けることもあるが、筆者は岡村のパフォーマンスを最大限に引き出すためには必要だと思っている。山本の相方である加藤浩次は、岡村不在時にも一人気を張っていた点は評価が高い。アクセントにもなる存在なので、番組には必要だろう。しかし、近年はギャラが高騰してきている気もするので、コストパフォーマンスの面で不安はあるかもしれない。

よゐこは、有野晋哉がスベリキャラ、濱口優がバカキャラとドッキリにかかる役という位置付けである。有野に関しては、スベリキャラとはいえ、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!(日本テレビ)」の月亭方正ほど明確なキャラクターや持ち時間が与えられているわけではないので、残念ながら番組に不可欠な存在とは言い難いように思う。濱口も微妙だ。

光浦と大久保は、ブスキャラとしてアクセントになるので番組には必要であろうが、ブス枠は新メンバーのたんぽぽ・白鳥久美子も該当する。もしかしたら、その方がギャラの面で、コスト削減ができるかもしれない。ブスキャラは3人もいらない。

非芸人枠である武田真治、雛形あきこ、鈴木紗理奈の3人。かつてはこの3人をメインに据えたコントもあったが、最近ではめっきりない。この3人がコントをやると、(芸人でない)役者やタレントがムチャクチャな言動をしているというおもしろさがあったのだが、現在ではそういう活かされ方はしていない。そういったことがもうできない/やらないのであれば、番組には必要な存在とは言えない。

また、「若くてきれいな女性」という枠はコント番組には欠かせないのだが、雛形も紗理奈ももうだいぶ歳がいっているので厳しいところだろう。

新メンバーはやはり、番組としての必要性を考えると疑問になる場合も多い。例えば、ジャルジャルは自分たちのやりたいことをやるだけで、岡村や山本のように動けるわけでも芝居ができるわけでもない。番組にも有機的に絡んでこない。

敦士も今のところ何かおもしろいことができているようには思えない。

三中元克については、唯一の売りが素人っぽさであったのに、変に慣れてその良さすら消え去ってしまい、ただの無芸大食と化している。足柄SAやみちのくプロレスに飛ばされているのも、使い方に困った番組が彼を体よく左遷している恰好であろう。

しかし、本質的には、やはり「めちゃイケ」の番組としての問題は「企画の問題」である。

例えば、EXILEとの絡みの企画も、全盛期の「めちゃイケ」であれば、EXILEをとことんまでなじって苛めて笑いをとっていたはずである。しかし、今の番組を見る限り、EXILE自体は一部の三枚目を除いてカッコいい扱いのまま番組をやる。結果として、何一つおもしろくない。

めちゃギントンは、尻取り侍や数取団の系譜を受け継ぎ、ガチンコのゲームときつい罰ゲームにおもしろみがある企画だったのだが、ゲーム自体が子供にウケてしまった結果、子役タレントを大量に入れてわけの分からないことになっている。

EXILEやAKBとの絡み企画や、お台場合衆国の宣伝も、あるいは「めちゃギントン」を子供に売り出そうとするような戦略も、素人ながらに「全てが金まみれではないか」ということが垣間見れる。そんなことばかり優先していたら、当然質の高い番組作りなどできるはずがない。

こういった一視聴者からも「金まみれじゃないか」とも見えるような番組作りが、テレビ局としての指示であり、意向であるとすれば、結果的に、フジテレビは自分で自分の首を絞めていることになるように思う。(もちろん、視聴者・ファンとしては「めちゃイケ」のスタッフは、金のことばかり考えて番組作りをしている人たちだとはあまり思いたくないが。)

営利企業が金儲けを優先するのは当然なのだが、テレビ局が作っている商品は第一にはテレビ番組である。その「商品」の質をおろそかにすれば、回り回って結局、自分たちの利益にはならないはずである。

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.
高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。