<消費税10%の根拠?>強行採決された「地域医療・介護総合確保推進法」で要介護者とその家族は漂流する

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト]

 
「消費税10%」を根拠の一つとする「地域医療・介護総合確保推進法」が5月15日に強行採決された。
一国会で成立させるため19本の法案を無理矢理一本化したこと自体が前代未聞 (国会担当記者)だが、厚労省職員のコピー&ペーストによる文書作成が発覚、国会審議がストップした“いわくつき”の法律だ。
しかも内容は、自己負担増とサービス供給減のオンパレードで、再び家族介護に依らざるを得ない事態へと誘導するから、もはや「介護保険」創設当時の「介護の社会化」の理念はすっかり変質した。
特に今回の場合、軽度者介護は国から市町村へ丸投げをしたから、隣町にはあるけれどうちの村には無い、といった地域格差の拡大を生むことが予測される。訪問介護(ヘルパ-)と通所介護(デイサービス)は2015年度から3年かけ、市町村の「地域支援事業」に移行され、全国一律のサービスが「確保」される可能性はとうとうなくなった。
また医療面では14年度の診療報酬改正で、医療機能の分化を明確にするよう方向づけられ、それは病床の大幅削減により入院日数の短縮を目指すから、かつての療養病床削減同様、ネコの目行政のあおりで、ますます介護を必要とする人の行き場がなくなる気配だ。
国民にとって、消費税は上がり、要介護になっても居場所すらなくなるのか。
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