<過労死防止法案が成立>次は、残業廃止法案へ

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト/星槎大学准教授]

過労死被害者の家族らが求めていた「過労死等防止対策推進法案」が23日、超党派の議員立法で衆院厚生労働委員会に提出され、全会一致で可決した。法案は月内に衆院本会議にかけられる。

既に「過労死、日本に改善勧告 国連が異例の懸念」(2013.5.23産経新聞)だから、Karoushi は国際的にも知られている。経済的には「先進国」らしいが国民のいのちとくらしとなると、きまって後手後手だから、恥ずかしい。こんなのを名ばかり先進国と呼ぼうか。

さらにここにきて残業無制限法案を目論む財界のポチこと政府与党だから、過労死への反省もなければ整合性もない。残業と過労死の関係は同根である。

「24時間戦えますか」に対し労基法などもはや形骸化し、サービス残業という名の不払い労働を堂々と闊歩させ、気がつけば過労死へと追い込む手口。家族の怨念はどこへと向かうのか。ブラック企業はなにも新興ばかりではなく業界を超え大手にも数多いのに驚かされる。

労働現場での規制緩和路線とはこうした一連の人殺しの論理に他ならない。少子高齢時代に一方で労働力不足を懸念し、一方で貴重な労働力を削ぐ。労働力には尊厳こそ付与されるはずが、安倍政権はブレーキもアクセルもない改造車で労働者の群れに突っ込んでくる。

国は、国を滅ぼすのか。次は残業防止法へ、超党派での続きが待たれる。

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