わずか一期でNHK理事を退任した元ディレクター氏の「言わざるを得なかった挨拶」
メディアゴン編集
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メディアゴン編集部は、わずか一期でNHK理事を去ることになった元ディレクターの退任挨拶を多大な共感を持って採録する。
以下である。
- 「公共放送NHKは、戦後初期の理想の時代が生んだ素晴らしい存在、残すべき価値のある公共財だと思っています」
- 「報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が、外からの干渉や働きかけによって左右されてはならない。NHKは放送の自主・自律を堅持する。全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき…」
- 「戦前の日本放送協会は、体制べったりで、政府が右といっても左、という勇気を持たなかった。…人々に真実を伝えず、悲惨な戦争へ突入するお先棒を担いだわけです。それが、どれだけ人々に悲惨な結果を招いたことでしょう」
- 「その深い反省の思いから、そして放送のもつ影響力をいい方向に使い、国民に民主主義を広めようと、公共放送が構想されたわけです。そして、健全な民主主義発展という使命達成には、自主自律、『不偏不党』の立場が必要不可欠だとされたのは当然のことです」
- 「繰り返しになりますが、公共放送の第一の役割は、あらゆる権力から自立して、『正確で公平公正な情報』、つまり〈真実〉を伝えることです。『健全な民主主義』は、社会の構成員が等しく正しい情報、『真実』を共有することが土台になければ、決して成立しないからです」
- 「公共放送の第二の役割として書かれているのは、『豊かで良質な番組を幅広く提供』することです。『良質』と並んで『豊かな』と書かれていることの意味は、豪華・贅沢な、という意味ではなく、『多様性に富んだ』という意味だと考えられます」
- 「…世界には独自の価値観を持った多様な人々が生きていることや、社会にも多様な価値観が存在することを示すこともまた、公共の大切な使命なのです。…戦後70年の節目の今年、私たちはもう一度、この公共放送の原点ともいうべき使命を再確認し、肝に命じるべきです」
- 「歴史の教訓にしっかりと学ぶべきです」
彼、この挨拶をした人物は人事担当であったが、NHK職員として採用した若い世代に希望を託す。
- 「彼らが現場にいる限り、公共放送の理念は決して揺らぐことはありません。彼らは、たとえ大きな力が真実を曲げようとしても、決して屈しない勇気と志を持っていると私は信じています」
なぜ、普通のことが普通に行われないのか。
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