『<インターネット>の次に来るもの』が予測するAIの広がり

デジタル・IT

保科省吾[コラムニスト]
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ケヴィン・ケリー 著「<インターネット>の次に来るもの 未来を決める12の法則」(NHK出版)を読んだ。
邦題は日本人の感覚がまだここで止まっているという現実を突きつけている。原題は「The inevitable」(不可避)であり、事態はもっと進んでいる。次に来るものなどと言う悠長なものではなく、この展開は今この時点で「The inevitable」(不可避)なのである。それはAI(人工知能)の広がりのことである。
<インターネット>があっという間に世界を覆ったように、AI(人工知能)はそれに輪を掛けたスピードで世界を覆って行くと言うのが本書の主張だ。
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どのような道をたどるのか、本書から印象的な部分を以下に要約引用する。

  • AI(人工知能)は独立型(スタンド・アローン)のスーパーコンピューターの中に存在するのではない。インターネットで結ばれたクラウドの中に存在する。このクラウドは世界中の人がアクセスし、改良することができる。

たとえばソフトバンクのロボット「ペッパー」は今のところ単体では木偶の坊である。ただし将来的にクラウドでAI(人工知能)に繋がることで、何かが起こるかもしれない。

  • AI(人工知能)は早い段階で無料になる。利益はこれをサービスで使うところから生まれる。
  • AI(人工知能)は前面にでて来ない。システムの後ろに隠れる。

筆者は「能あるタカは爪を隠す」ということわざを思い出した。

  • 何にAI(人工知能)を付加するかの競争になる。

例えば、洗濯機に「服をどのように洗って欲しいか」などを判断させるようなAIを付加する。広告の効果調査で、どのような社会的影響力のある人にどのように伝わったかをAIで測定することができるようになる。あるいは、患者にセンサーを付けAIが看護婦に最適な看護プランを提案することもあるかもしれない。
建築設計の変更、天気予報、資材の値段、流通の混雑、為替変動、事故予測まですべて勘案してAIが工事現場に指示を出す。AI は計算により、コネや裏取引、利権、私情などを絡めずに最も経済的で合理的な提案を出すだろうから、東京オリンピックの事業費がふくらむ前に導入されれば・・・と思ってしまう。
さて、著者はこう言っている。

「進化の歴史の気まぐれで、われわれはこの星で唯一、自意識を持った種のような顔をして、人間の知能は他に類を見ないものだという、不確かな考えを抱き続けている。(人間の思考は)ひとつの種に過ぎない。」

 
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