<会社は誰のもの>電通・ユニクロ・東芝・慶應大学…労働者を無視?

社会・メディア

保科省吾[コラムニスト]

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「会社は資本家や株主のためにある」

「会社は経営者のためにある」

本当にそれでいいのかが問われている時代である。

「会社は労働者のためにある」

 電通で過労死自殺があった。これまでの電通は労働者のためにある会社ではなかった、ということだ。ユニクロに潜入しアルバイトとして働いていたジャーナリストの横田増生氏が、解雇を通告された。増田氏が文春に綴った記事が真実ならこの会社もまた労働者のための会社ではない。

米原発事業で多額の損失を計上する見通しとなった東芝。身売りを含む大規模再編が不可避となっている。大量のリストラが行われるだろう。東芝もまたこの命題を満たす会社ではなかったのである。

文部科学省の天下り問題で、慶應義塾大学にも退職した元幹部が不正に再就職していたことが分かった。一部の幹部のみの特権行使も、慶應義塾大学の狡さも両者が労働者の敵であることを示している。

今日、法は働く人を過酷な状態に追い込むように動いているようにも思う。

2月17日、衆議院予算委員会の集中審議で、一定の時間、働いたものとみなして賃金を支払う『裁量労働制』の拡充などが盛り込まれた労働基準法の改正法案(平成27年から継続審議中)が取り上げられた。

【参考】<厚労省が立ち入り調査>電通への強制調査に恐怖するテレビ局・IT企業・新聞社

職務の範囲が明確で一定の年収を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。労働時間の上限を定めない決まりは過労死を招くことは子供でも理解できる。

暗い気持ちになる中、嬉しいニュースもあった。

通信大手KDDIの労働組合は今春闘で、契約社員のボーナスについて、正社員と同じように「月給の何カ月分」という形で計算し、正社員と同じ倍率を月給に掛けて支給するよう求める方針を固めた。非正社員にはボーナスを支給しない企業がほとんどで、支給しても「寸志」のように一定の低額を支払うケースが多い。

労組の中央組織・連合は「大手企業の労組がこうした要求をした例は聞いたことがない」(担当者)としており、異例の労使交渉が注目を集めそうだ。労使の交渉は正社員のことしか考えてていないことが多いのに、KDDI労組のすばらしい決断である。

筆者はフリーランスで働いているから、資本家の立場も、経営者も、労働者もひとりで兼務している。そのことを考えたときに一番大切にしたいのは、やはり「労働者」の部分である。

 

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