<NHKは「日本偏向協会」>NHKは1時間枠「8党討論」を基本編成とすべし-植草一秀
植草一秀[経済評論家]
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6月11日のNHK日曜討論は与野党8党での討論になった。
従来、NHKは「日曜討論」における討論参加者を政党要件を満たした政党としていた。ところが、小沢新党関連の小政党が誕生したときから、一方的に運用ルールを変更して、政党要件を満たしているのに、討論に出演させないという恣意的で偏向した運用を始めた。
このころから、NHKの正式名称が「日本偏向協会」に実質的に変化したのだと思われる。最近のNHKが狙っているのは、「日曜討論」での自由党、社民党はずしである。この両党は、共産党と並び、安倍政治に正面から対峙する「たしかな野党」である。
森友事案、加計事案においても、この二つの政党の果たしている役割は極めて大きい。加計事案で文科省が再度の内部調査に追い込まれたのも、農林水産委員会などにおける、森ゆう子自由党参議院議員などの厳しい追及が背景である。
NHKは政党討論会の頻度を極端に減少させている。政権を厳しく追及する、正鵠を射た批判を、できるだけ主権者国民の目に触れさせぬようにするためだ。まさに「御用放送」「大本営放送局」と呼ぶにふさわしい行動をNHKは示している。
NHKは8党討論会を極力減らして、5党討論会を開催している。8党討論では与野党比率が4対4になる。5党討論では、これが3対2になる。この差は絶対的に大きい。3対2は『自民、公明、維新』対『民進、共産』である。
このうち、民進党の枢軸は「隠れ自公勢力」であるから、実態は3.5対1.5になってしまう。8党討論では、これが4対4ないし4.5対3.5になるから、視聴者の印象がまったく違ってくる。5党討論を積極採用するNHKこそ、「印象操作」派の筆頭である。
安倍晋三氏は○○の一つ覚えのように、明けても暮れても「印象操作」と繰り返すが、NHKの番組編集姿勢を「印象操作」だと指摘しないのでは、この言葉を使う意味がない。元祖「印象操作派」がNHKだと言える。
NHKは8党討論を行うに際して、時間を1時間15分に延長した。これも、「延長しないと8党討論を行えない」との「印象」を植え付けるための「印象操作」である。1時間枠で8党討論は十分に可能だ。15分延長しなければならないのは、自民党出演者にだけ、過大な時間を配分しているからなのだ。
11日放送でも、共産党の小池晃議員や自由党の森ゆう子議員の発言は、短い時間で遮断しておいて、自民党の下村博文氏には、時間制限することなく、頻繁に発言させている。
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