TBS「プレバト!!」で千原ジュニアの俳句を「腹立たしい!」と一喝
久慈良陸[ライター]
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有名人の作品をプロが査定するTBS系『プレバト!!』。この番組の俳句編『俳句の才能査定ランキング』を見た。
先生は生徒の俳句を査定し点数をつけ、「才能あり」「凡人」「才能なし」のランクに分ける。生徒は句作し、特待生は句作と他の生徒の句を批評する。その批評を先生が批評する、という仕組みだ。
これは俳句本来の楽しみ方であるわけだが、それをものの見事に娯楽番組に仕立て上げる演出家の手腕には感心させられる。
番組で俳人・夏井いつき先生が行う俳句の査定は辛辣で目が離せない。MC・浜田雅功、先生・夏井いつき、特待生・梅沢冨美男といういかにも武闘派な3人組の番組進行のチームワークも素晴らしい。
先生の一刀両断に涙を流し、執拗に抗議する特待生。このガチンコの迫力にゲストの生徒達が引き込まれる。鼻っ柱の強い有名人のプライドが自信作の添削でものの見事に切り刻まれる。その落胆ぶりに視聴者は大喝采してしまうわけだ。
しかし、添削によって、句は見事に生まれ変わる。生徒は感激して句作の楽しさを実感するのである。
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10月12日の放送では、千原ジュニアのおちゃらけた句に先生は怒りが爆発した。「腹立たしい句だ」と一喝したのである。その句がこれである。
秋の運動会にて一句。
「運動会 老い 甥 追い『おーい』あ、人違い」
この千原ジュニアに一句を、先生は次のように辛辣に切り捨てた。
「何をやってもいいけど、句の中にちゃんと詩情があってほしい。自分の経験はあるけど詩はない。こういうのイヤ!」
先生は俳句に命を懸けている。本気だ。
鼻っ柱が見事に折られた千原ジュニアの眼が点になっている。本来はここで視聴者の筆者は留飲を下げるのだが、今回ばかりは思わず襟を正してしまった。先生の気合に思わず飲み込まれた。この番組を甘く見てはいけないことを痛感した。
テレビの画面は先生と生徒の生身のやり取りを茶の間にさらし、被写体の心の内を丸裸にする。この番組は、正にドキュメンタリーだ。
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