映画「スパイダーマン ホームカミング」が主人公を高校生にして成功できた理由
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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日本なら主人公を高校生にして、オーディションで選ぶという冒険は、決してやれないだろう。
渋谷TOHOシネマズで8月11日、映画「スパイダーマン ホームカミング(SPIDER-MAN: Homecoming)」を見た。Homecomingとは、米国の高校や大学で行われる、文化祭と体育祭と同窓会が合体した様なお祭りのこと。在校生、卒業生そして地域住民が集まり、フットボール等のスポーツ対抗試合、チアリーダーの演技、マーチングバンドの市内行進、ダンス大会などが開かれる。
映画では主人公がパートナーとして一目惚れした女性を連れて行けるかが、ひとつの興味。「アメリカン・グラフィティ」のような青春映画の要素が取り入れられている。
【参考】映画『君の膵臓をたべたい』が全く泣けない理由【ネタバレ注意】(https://mediagong.jp/?p=23516)
新たなスパイダーマン=ピーター・パーカー(高校2年生)を演じるのは、19歳の新進俳優トム・ホランド。みずみずしい芝居でアメリカの俳優の層の厚さを思い知らされる。彼は7500人のオーディションから選ばれた。日本では、フジテレビ系のドラマ『僕たちがやりました』で、28歳の窪田正孝が高校生役を演じているのとは大違いである。日本はスターを発掘する努力をしていないのでこういうことになるのである。
アベンジャーシリーズはみなそうだが、映画の中でピーター/スパイダーマンは、自分が何者であるか、この世界で自分の居場所がどこにあるのかを見つけようとして苦悩する。
その苦悩とアクションシーンがすごいテンポで描かれていくので、なかなかついて行けないところもある。3Dで見たが、立体感がストーリーを追うのに邪魔になることもあり、よくわかりたいひとは2D で見ることをお勧めする。
ピーターの親友で、影でスパイダーマン支えるネッドを演じるジェイコブ・パタロンがいい。アジア系かネイティブ・アメリカン系なのか、親しみのある容貌で高校生役をリアルに演じている。
スパイダーマンを高校生にして成功に導いたのは、オーディションでキャストを選ぶ手間暇と努力(ハリウッドでは当然のこと)の賜物である。
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