生活保護世帯のエアコン購入費補助「本当」の問題点とは?

社会・メディア

山口道宏[ジャーナリスト、星槎大学教授、日本ペンクラブ会員]

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あちらこちらで体温を超える40度超えの連日、今夏は地球規模で「命が危ない」とされる酷暑に見舞われている。我が国では既に3ケ月で7万人超が熱中症に、死者は138人(8月7日・東京新聞)と伝えられ、年間最多を更新している。

さて、7月初めから「生活保護世帯へエアコンの購入費。ただし条件付きで、上限5万円」という。熱中症は今夏ばかりではなく、これまでも犠牲者は発生している。
【参考】<社会福祉法人は儲けすぎではない>介護報酬引き下げの根拠が社会福祉法人の「内部留保」?
ところで「対象」が生活保護者ゆえに、いまだこんな居酒屋談義が繰り広げられる。即ち、「健康で文化的な生活:生存権」VS「贅沢:血税だから」というものである。そんな「闘論」を経ての今回措置の導入と思いきや、その内容は「仏作って魂入れず」の始末だから呆れる。
「条件」とは「今春4月以降に受給世帯」「高齢者、障害者、子ども、体調の優れない人がいる場合」「購入費+設置費の一部支給」というから「えーツ?!」と思う。
では「対象」は生活保護受給全世帯の何パーセントというのか? なにより4月以前からの受給者を除外する理由が皆目分からない。また生活保護に至らない「困窮者」(生活困窮者支援法)は対象外なのか。さらに一部補助では電気料負担は問題外だから、仮に設置できても「もったいなくて使えない」で、熱中症死が予測される。それは「施し」(ほどこし)なのか、ポーズなのか? こんなところに行政の側の支援の有り様と福祉スピリットが疑われる。
こんな記事が目に留まった。「冷房使用は福祉 猛暑続く韓国 電気料金を値下げ」(8月7日・朝日新聞)。韓国で出来てニッポンで出来ないわけはない。
 
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