2019年は一人でも多くの市民が参加できる大きな連帯=アライアンス形成を -植草一秀

政治経済

植草一秀[経済評論家]

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2018年を漢字1字で表す「今年の漢字」が「災」とされた。「災い」の「災」である。2018年の「災い」のなかの筆頭は何といっても安倍内閣が存続したことだろう。民主主義をなめているとしか言いようがない。それでも安倍首相は議会での正当な手続きを経てすべてを決めていると強弁するだろう。たしかにそうかもしれない。しかし、国民の生活、国の根幹にかかわるような重要な問題について、国会で十分な審議も尽くさず、数の力だけで押し通すことは民主主義の破壊行為であると言わざるを得ない。

臨時国会だけでも水道法改定、漁業法改定、入管法改定が強行され、沖縄県知事選で辺野古米軍基地建設反対の民意が明示されたにもかかわらず、安倍内閣は辺野古の美ら海への土砂投入を強行した。通常国会では「働き方改革」という名の「働かせ方改革」が強行された。これらを「災い」と表現せずに、何と表現できるのか。

年末を控えて2019年への展望、戦略構築が求められる。安倍内閣の本質はグローバリズム政策の推進である。グローバリズムと表現すると聞こえが良いが、要するにグローバルに活動を展開する巨大資本の利益極大化だけを追求しているのだ。

たしかに大企業収益だけは史上最高値を更新し、我が世の春という状況だが、その裏側の現象として一般市民が下流へ下流へと押し流されている。雇用が増えたと言ってもその7割が非正規雇用である。まじめに汗水流して働いても年収が200万円にとどかない新しい貧困層が1000万人を突破して激増の一途をたどっている。税制においては庶民に酷税を押し付ける消費税が大増税される一方、法人税が大減税され、富裕層への優遇税制が温存され続けている。

「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」と叫んでいた野田佳彦氏が「シロアリ退治なき消費税増税」に突き進んだ。ここから日本の政治はおかしくなってしまったのだ。それでも希望の光が消えているわけではない。希望の光はあるのに、私たちがその光を積極的に掴もうとしていないだけなのだ。国政の体制は選挙で決まる。たかが選挙ではあってもされど選挙なのだ。選挙に勝って多数の議席を確保しないことには政治の刷新は実現しない。選挙に勝って政治を変える国民運動を展開したい。

「ガーベラ」には、「希望」や「常に前進」、「限りない挑戦」という意味がある。主権者である市民が手を取り合って、より良い明日を生み出すための運動を展開できればと思う。みなで連帯しての運動に、たとえば「ガーベラ運動」「ガーベラ革命」という名称を付すことを検討してはどうだろうか。ガーベラは一年中花を咲かせる。さまざまな色やかたちをした陽気なガーベラが、その場にいる人たちの気持ちを明るくさせる。未来に夢と希望を持つことができる社会を構築する運動、革命として「ガーベラ運動」、「ガーベラ革命」は検討に値するだろう。

安倍政治を退場させて新しい主権者のための政治を確立しようとする多くの動きがある。これらの運動が連帯することが重要だ。

*原発を廃止する
*戦争法制を廃止する
*格差を是正する・生存権を守る
*TPPプラスから離脱する
*辺野古に基地を造らせない

こうした多くの運動が「ガーベラ運動」、「ガーベラ革命」として連帯して、2019年の選挙で大輪の花を咲かそう。一人でも多くの市民が参加できる大きな連帯=アライアンスを形成するのだ。

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