「みんなのKEIBA」には北の富士が必要だ

エンタメ・芸能

熱川博文[ライター]

***

秋競馬が始まったが、なんとも物足りない。レースや馬券の話ではない、フジテレビの競馬中継『みんなのKEIBA』の話である。

「天高く馬肥ゆる秋」という故事にあるように、ダービーを頂点とする春のクラシックと並び立つのが秋競馬である。これから師走の有馬記念まで盛り上がるのが毎週の競馬中継だ。出演する解説陣もそれはわかっているであろうに、なぜかその舌鋒が振るわないのだ。

[参考]TBS 競艇番組に見る「ファンを増やす」ためにテレビ番組に出来ること

もちろん、素人ではない。元祖女性ジョッキー細江さんを筆頭に、憎めない競馬予想家の井崎先生、近所に一人はいる競馬好き兄貴風のDAIGO、競馬芸人の走りカンニング竹山氏、と堂々たるメンツである。

ただ、この方々、非常に淡泊なのである。

馬券が当たっても、「おめでとうございます」の拍手のみ。狂喜乱舞なぞ見たことない。馬券を外しても、哀しい顔こそするが、次の瞬間、「次につながる走りでしたね」と、着外に飛んだ一番人気の肩を持ったりする。

そんな解説を聞いていると、なんともむず痒い気持ちになる。喜怒哀楽を抑えすぎだ。特に怒りの感情は蓋をし過ぎて、もはや奇妙である。解説陣だって不甲斐ないレースぶりに対しては「金返せよ」と言ってもいいだろうに。視聴者も「良く言った!」と思うはずだ。

とはいえ、関係者の手前、番組側が今の解説陣に方向転換を求めるのは酷だともわかる。ここは劇薬の投入が必要であろう。

例えば、相撲中継のこの人ありと言われる舌鋒鋭い北の富士氏を招聘してみてはどうか。氏が競馬に造詣が深いかどうかはさておき、外れた時は怒髪天を衝き、怒ってくれるのは間違いない。番組のスパイスになるだろう。

もっとも、怒りなだけに度が過ぎるのは考えものでもあるのだが・・・。

 

【あわせて読みたい】