<国による倫理観の押し付けに異議>「道徳」の「特別教科化」を決めた委員はこんな人たち
高橋秀樹[放送作家]
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2014年10月22日(2014年)、中央教育審議会(中教審)の答申で「道徳」の「特別教科化」が事実上決定した。現在「教科外活動」の小中学校道徳に検定教科書、学習評価という要素が新たに付け加えられる。
教科の性質上、数値での評価になじまないとして一般教科と区別し、「特別の教科」扱いにするという。文科省は2018年度の教科化を目指しているという。国の考えが反映する検定教科書の導入、数値での評価になじまないとしながらも、やると決めている学習評価。なんだか日本が「嫌な国」になりそうな気がする。
安倍首相が標榜する「美しい国」だが、1億2000万人いれば、それぞれの頭の中に1億2000通りの「美しい国」があると思う。
就活がなかなかうまく行かない学生生徒が思う「美しい国」、貧困にあえぐ人が考える「美しい国」、オリンピックを目指す若者が思う「美しい国」、障害者が思う「美しい国」、保育園になかなか子供を入れられない母が考える「美しい国」、在日韓国人が主張したい「美しい国」、アイドルが想像する「美しい国」・・・などなど。
そのような「1億2000万人・1億2000万色」の「美しい国像」を、国がひとつの「美しい国」にしてしまおうということなのだろうか? 国に倫理観を押し付けられるのはまっぴらだ、と思わざるを得ない。
何よりも、国は「手段」であって、「目的」ではないのだ。
さて、今回の「答申」をした「第7期中央教育審議会委員」は文科省によれば、以下の30名。文科省発表の肩書ではわかりにくいので、調べなおして付した。どんな人たちなのか? ぜひ、ご確認頂ければと思う。
<第7期中央教育審議会委員>
[会長]
- 安西祐一郎(第17代慶應義塾長)
[副会長]
- 小川正人(教育学者)
[副会長]
- 北山禎介(三井住友銀行取締役会長)
[委員]
- 相原康伸(日本労働組合総連合会副会長、全日本自動車産業労働組合総連合会会長)
- 明石要一 (「朝食が和食の子どもは早起きし、学校が楽しいと感じる割合も高い?」というデータを発表した教育学者)
- 五十嵐俊子(日野市立平山小学校長)
- 生重幸恵(学校コンサルタント)
- 浦野光人(株式会社ニチレイ相談役)
- 衞藤隆(小児科医)
- 大島まり(脳動脈瘤が破裂するリスクを一目瞭然にしようと、新たな“画像シミュレーション技術”を開発した工学博士)
- 尾上浩一(公益社団法人日本PTA全国協議会会長)
- 小原芳明(祖父から3代に渡る玉川大学長)
- 帯野久美子(翻訳・通訳)
- 河田悌一(中国哲学研究者)
- 菊川律子(福岡県庁に入庁し、男女共同参画推進課長)
- 北城恪太郎(日本アイ・ビー・エム株式会社相談役)
- 櫻井よしこ(ジャーナリスト)
- 篠原文也(元日本経済新聞記者)
- 白石勝也( 4期目の愛媛県松前町長)
- 高橋香代(健康・スポーツ科学・公衆衛生学・健康科学・内科系臨床医学)
- 田邉陽子(柔道家)
- 長尾ひろみ(法廷通訳人。専門は通訳学、通訳教授法)
- 橋本昌(6期目の茨城県知事)
- 橋本都(青森県初の女性教育委員会教育長)
- 濱田純一( 東京大学総長)
- 早川三根夫(岐阜市教育委員会教育長)
- 平尾誠二 (神戸製鋼ラグビー部ゼネラルマネージャー、元ラグビー日本代表選手、元ラグビー日本代表監督)
- 無藤隆(教育学者、心理学者)
- 森民夫(建設官僚を経て新潟県長岡市長になり3期目)
- 吉田晋(国際性豊かな若き淑女の育成が目標の富士見丘中学高等学校校長)
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