<安倍政権「多様な働き方」って何?>「残業代ゼロ方針」導入について考える
メディアゴン編集部
安倍政権は、5月28日の産業競争力会議で成果主義の賃金導入方針を決めた。 成長戦略に、耳あたりの良い「多様な働き方」を導入しようと言うことだが、これは巷間言われているように「残業代ゼロ方式」に他ならない。
テレビ局にもさっさと編集を終え、いくつも仕事をこなす腕達者のディレクターがいるかと思えば、ぐずぐずと悩み3分のVTRを完成させるのに10時間使っているやつもいる。この2人が同じ給料で良いかと言えば、同一労働、同一賃金の原則から言ってもだめだろう。前者に多くの給料が支払われるべきだ。
産業競争力会議の案では、こうしたディレクター(いわば監督である)のような専門業務の幹部は残業代をゼロにしようというのである。年収に制限はない。
一見いいように思えるが、よく考えると、前者は年収1000万円のディレクター、後者は500万円のディレクターになるわけであるから、どうせ払わなくて良いなら、企業は皆、ADでも何でもみな、ディレクター(名ばかり)にして500万円払うから残業代ゼロで働け、というのは目に見えている。
職種で限定し、年収には制限を設けないとする産業競争力会議案に対し、厚労省案は、年収を数千万円以上の人に限ろう、と言うものである。どちらも欠陥があるのは明らかだ。 もしこれが法律になったとき職種は運用でどんどん広がる。一方、年収の限度はなし崩し的に下げられてゆく。
こうした法律を“運用”できるのは行政(政府、都道府県、市町村)だけであるし、“なし崩し”にできるのもまた行政なのである。
労働条件のようなものは、最も弱いものを基準にして考えるべきなのではないだろうか。
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