<大臣・副大臣・政務官らは対象外!>あらゆる個人情報を収集する特定秘密法の「適正評価」は人権侵害

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト]

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多くの国民の反対にも関わらず成立した「特定秘密法」。2014年12月10日に、範囲も基準も未確定のままに施行された。
防衛秘密をめぐる「西山事件」(取材で知り得た機密情報を毎日新聞の西山太吉記者が国会議員に漏洩し有罪となった事件・1971)をダシに、「スノ―デン事件」(米国家安全保障局が極秘に収集していた大量の個人情報エドワード・スノーデン氏が告発した事件)に早速に呼応する日本の政府与党は「米国のポチ」だ。
こうして、我が国における、表現の自由への抑制、報道規制が大手をふるうのか。知る権利などどこ吹く風で、政権によるかん口令が敷かれようとしている。
さらに、日弁連も指摘するように、「適正評価」という名の人権侵害も始まった。
「特定秘密を扱う者」への犯罪・懲戒暦、通院歴、借金、海外渡航歴・人脈などの調査というが、その範囲の拡大や流用がないという保障はどこにもない。
そんな身元調査ではプライバシーもない。配偶者、親、子、兄弟の氏名、生年月日、国籍、住所などは、全て一方的に収集する側とされる側に分かれるのは自明の理だ。権力がまた風上に立つ。
しかしながら、大臣、副大臣、政務官らは、それらチェックは受けないという。もちろん、職務上知り得る情報量の多さは「特定秘密を扱う」先の人々の比ではない。
ここからの漏えいのほうがよほど心配だ。いっそ米国政府に審査をしてもらったらいいかもしれない、とさえ思う。
 
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