<草食系男子の原因?>女性が男性を選ぶ現代で「遺伝子を残すため」の男性草食化は自然の摂理
岩崎未都里[ブロガー]
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福山雅治氏を、筆者はずっと草食系の代表だと思い込んでいました。
「福山さんって草食系の代表だよね」と、友人に言うと「え!? 全然違うっ!」と、きっぱり即答。あれ? 草食系男子ってなんだろう? と思い、改めて今回調べてみました。
かつて、草食系男子が社会的な話題になったのは、2008年頃のことです。その定義は「新世代の優しい男性のことで、異性をがつがつと求める肉食系ではない。異性と肩を並べて優しく草を食べることを願う草食系の男性のこと」(森岡正博 著『草食系男子の恋愛学』より)とされています。
2008年頃に「草食系男子」という言葉が持ち上げられた時は、メディアではネガティブな意味で取り上げられることが多い言葉であったように思います。「不景気や少子化の原因は、ガツガツしない草食系男子が女性に消極的だから」という風潮です。
あれから7年。現在では「草食系男子」という言葉は、ティピカルな若年層・未婚男子の生態として定着して、むしろ女性からはポジティブに見られています。あるインターネットサイトでは、「草食男子ランキング」として次のようなランキングが付けられていました。
1位 草彅 剛
2位 瑛太
3位 佐藤健
4位 瀬戸康史
5位 小池徹平
・・・他、三浦春馬、岡田将生…と、親しみある草食系な方々ばかりです。
さて、かつては一般的であったであろう「肉食系男子」の時代を思いかえしてみれば、1990年代のバブル期に象徴される「男が女を選ぶ」という発想がバックにありました。もう少しスマートに表現すれば、これは「男性が憧れの女性に告白する」ということです。そして、その究極の目的は「憧れる女性とセックスをして、自分の遺伝子を残すこと」と考えられるわけです。
この図式を女性側から見ると、女性は「白馬の王子様」が迎えに来てくれるまで待つ立場であり、念願かなって「白馬の王子様」から告白されれば、「めでたし、めでたし」のハッピーエンドとなります。
よって、この男女関係のスタイルが確立してしまうと、「女性側から男性側へ告白する」ということは、ありまり美しくない(はしたない)と見なされてしまいます。ある意味、この構造は女性にとって大変不利なものです。一夫一婦制という制度が守られると、「白馬の王子様」が、万が一他の女性にプロポーズして、それに応じられてしまえば、自分としては最悪の状態になってしまうわけですから。
本能的には、「男性の性欲は攻撃的」であるのに対し、「女性の性欲は受動的」です。かつての日本では、女性が男性を選ぶという構造を作り出すのは難しいことでした。
しかし、ここで注目したい転換期があります。80年代からの「男女共修・ゆとり教育政策」です。男女平等の教育や、修得科目まで同等な「男女共修」により、性差が以前より曖昧になり、結果として女性が主体性を発揮されるようになったのではないでしょうか。これまでとは逆に、男性が「女性に選んでもらう」ために「草食化」が進み、2008年頃になると、成人した「草食系男子」が増加していたのではないか、というのが筆者なりの解釈です。
お友達感覚で女性は気楽に男性とお付き合いができるようになり、「意に沿わない相手」と結ばれる恐れは少なくなりました。気付かぬうちに、女性が男性を選べるスタイルにルール変更されていったわけです。
(例えば、女性のファッションが、男性に選ばれようと受け身で意識しいたバブル期のボディコンワンピから、女性主体で選択した着て楽なゆったりしたチュニックみたいな方向へ、大きく変わったのは象徴的な例ですね。)
ちなみに、2010年度の国立社会保障・人口問題研究所の「未婚者のセックス体験の推移」によれば、18~34歳の男性のセックス経験率は、1987年の水準と同等かそれ以上になっています。しかし、18~34歳の女性のセックス経験率については、過去25年間で大きく増加しています。数字のうえでは、女子の肉食化の統計的な結果として出ているので、「肉食女子」は確実に増加中であると思います。
生物は環境の変化に合わせて生態を変えていきます。女性が男性を選ぶ時代に、遺伝子を残すために男性が「草食化」へと変化を遂げてゆくのは、自然な成り行きだというのが、今のところの筆者の持論です。
少子化や不景気の原因は「草食系男子」とは別のところにあるはずです。
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