[江川達也]<安保法案は穏やかに語れ>「安保法案賛成派」を暴力的に排除する「安保法案反対派」の平和主張に説得力はない


江川達也[漫画家]

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『国会前デモの中心で「安保賛成!」を叫ぶ』というタイトルの動画を見た。

安保法案反対デモが起きている国会前。そこに「安保法案賛成!」のプラカードを持ち、賛成を叫ぶひとりの男性。デモ隊はそれを抑止するように詰め寄る。しかし、警察は混乱を防ぐため、その男をデモ隊から離すように連れ出した。

揉みくちゃにされるなか、

「なんで法案賛成の人間がここから排除されなければいけないんだ!」

と声を荒らげるその男性。一方で、デモ隊からは「帰れ!」コール。警察も大変だ。

たしかに、法案反対派が、国会前で不法行為を働いているのに排除されないのを見て、法案賛成派も国会前に行って、横断幕やプラカードを持って主張してもいいだろう、と考えるのも一理ある。

法案賛成派が国会前にやってくれば、法案反対派に暴力をふるわれ、殺される可能性が高まる。その危険を考えれば、警察官が排除するのも当然だ。この安保賛成の人もそれを狙ってやってきたのだろう。

法案反対派に怪我をさせられ、流血になれば、平和を訴えている法案反対派が実は、平和とは真逆の暴力集団だと主張することが出来るからだ。

法案反対派は、注意しなくてはならない。自分達が、凶暴じゃないことを証明しなくてはならない。

自分達が、平和を大事にする穏やかで理性的な人の模範とならなくてはいけない。平和を主張しながら暴力的ではちょっとおかしい。もしくは、なにか薬でもやっているジャンキーに見えてしまう。

昔、勝新太郎さんが、タバコを吸いながら、「禁煙したんだよ。」って平気で言っている記者会見を見た。記者が「禁煙してるんですよね。」と訊くと、「ああ、タバコはここの処吸ってない。」と言いながら、タバコを吸っていた。

「平和を守れ」と熱狂的に叫んでいる人を見ると、タバコを吸いながら、禁煙中と言っていた勝新太郎さんを思い出し思わず笑みがもれる。

「平和は大事です」と言いながら穏やかに論理的に語る人には説得力がある。戦争のことを穏やかに話す人にも説得力がある。

そう、どちらにしても穏やかに話す人には説得力があるのだ。自分は、話をしても興奮して話す傾向にある。だから、説得力がないのかもしれない。

熱狂は、危険だ。熱狂は、破壊を意味する。

(本記事は、著者のFecebookエントリを元にした編集・転載記事です)

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江川達也

江川達也(えがわ・たつや)漫画家。1961年、愛知県生まれ。愛知教育大学教育学部卒業。 アシスタントの傍ら描いた習作『Don't Give Up』が『コミックモーニング』編集部の目に止まり、1984年、「BE FREE!」(『モーニング』)でデビュー。その後『まじかる☆タルるートくん』を始めとする少年誌向けのギャグ漫画や、『東京大学物語』『GOLDEN BOY』などの青年誌向けのストーリー漫画まで幅広い分野で執筆し、作品がアニメ化されるなど、立て続けにヒット作を生み出す。