<4万4980円は高い?安い?>PlayStationVRはゲーム体験が進化するめったにない「祭」

デジタル・IT

八坂亮[ゲームクリエイター]
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今年一番の注目商品と言っても過言はない『PlayStationVR』(以下、PSVR)の発売日や値段がついに明らかになった。発表された発売日と価格は以下の通りだ。

  • 発売日:2016年10月(予定)
  • 価格:44,980円

この発表自体はニュース等でも取り上げられているのでご存知の方も多いだろう。では、この値段を見たときにどう感じただろうか? きっと、「安い派」と「高い派」で意見が真っ二つに割れるんじゃないだろうか。
<「安い派」と「高い派」に割れる理由>
PSVRはPS4と接続するヘッドマウントディスプレイ型のデバイスで、視界いっぱいにゲーム画面を映し出し、頭の動きと連動させる事で没入感を高める製品だ。ゲームの新時代到来を予感させる夢溢れる存在である事は間違いないが、実はこういった製品が登場するのはPSVRが初めてではなく、先行して展開される製品がいくつか存在する。
例えば3月28日から出荷が始まる「Oculus Rift」だ。こちらはPCと接続するVRデバイスで価格は9万4600円。ご覧の通り、PSVRよりも5万程高くなる。つまり、そもそもVRに対して関心が高く、 「Oculus Rift」の事を知っているような方にとってみればPSVRは十分に「安い!」と感じられる事だろう。
一方で、PSVRを「新しいPS4の周辺機器」や「ニュースで見た」程度の認識の方にとっては、どれほどの体験ができるのか得体の知れない物なわけで、PS4本体と同程度の値段の「高い!」周辺機器とうつる。
つまるところ「得体の知れない物にはお金を払いたくない」という事で、VRに対する関心の度合いが値段に対する意見にそのまま反映されていると言えるのではないだろうか。
<求められる「価値」のアピール>
とにもかくにも、現状ではVRの新しい体験をアピールして「高い派」の方の関心の度合いを高める事が必要だろう。しかし、VRはその特性もあって実際に体験しなければ価値を理解しづらく、体験談やテレビCMをいくら観ても本質が伝わらないところがもどかしい。
最近、テレビ番組で女性タレントがVRを体験して悲鳴をあげるシーンが話題になったが、そのシーンを観た人も、大多数は半信半疑な印象しか残らなかったのではないだろうか。
現在、お台場の日本科学未来館で開催している企画展「GAME ON ゲームってなんでおもしろい?」でPSVRを体験する事ができるが、このように実際に体験できる機会を地道に増やすしかアピール手段はなさそうだ。
イベントという形にしてしまうと開催地域付近に住んでる人しか体験できないし、もっと言えばそもそもVRに興味を持っている人(=PSVRを「安い」と思っている人)が確認するだけの集まりになってしまう恐れもある。
理想は全国の店頭等で誰でも気軽に体験できる機会を作る事だろう。ともあれ、こんな記事に言われずともソニー・コンピュータエンタテインメントは色々な策は練っている事と思うので素直に期待したい。
<VRはゲーム体験の進化>
平面から3Dゲームへの映像の進化や、体の動きと連動する体感系ゲームの登場等で体験できる遊びが変化する事が多々ある。PSVRの登場はそれらと同様にゲーム体験が進化する大変貴重な機会だ。滅多にない「祭」だと思ってもらってもいいかもしれない。
もし、VRに少しでも関心を抱いた方がいれば、是非とも体験できる場に足を運んで欲しい。そして一人でも多くこの「祭」の参加者が増えれば嬉しい。祭は参加する人が多いから楽しいし、盛り上がるのだ。
 
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