<「ひきこもり」で迂闊な放送?>精神科医・斎藤環氏が「TVタックル」をBPOに審査要請呼びかけ


精神科医の斎藤環氏が3月21日に放送されたテレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」の内容について、BPO(放送倫理・番組向上機構)に審査要請を出したことが話題だ。さらに、ネット上でも広く審査要請への参加を呼びかけている。

当該番組で何が放送され、何が問題となっているのか。以下に齋藤氏の文章を引用する。

(以下引用)

「ビートたけしのTVタックル 3月21日放映 23:15~24:15同番組で『ワンステップスクール伊藤学校』による『ひきこもり支援現場』が放映されました。

彼ら(伊藤学校の職員)は両親の依頼を受け、事前にひきこもり当事者の十分な許諾を得ることなく、当事者の部屋に土足であがりこみ、長時間の説得、恫喝、怒鳴り上げ、ドアを蹴り破るなどの暴力的な手法で当事者を部屋から連れ出し、共同生活の寮に連れて行き作業をさせるという『支援』を行う事業所です。

10年ほど前にほぼ同様の手法で支援活動をしていた「長田塾」を持ち上げたのもテレビ朝日ですが、長田塾はその強引な手法を塾生から訴えられて敗訴、関連機関のアイメンタルスクールの経営者は塾生を監禁して死亡させ逮捕という事件を起こしています。

まともな専門家や支援者には一切取材せず、こうした暴力的な手法を採る業者だけを肯定的に取り上げる報道姿勢には、世間への目配りと迎合はあっても、適切な人権意識が欠けています。ぜひとも審査対象としていただきたいと思います」(@pentaxxx

(以上引用)

確かに、引きこもりにも「引きこもっている権利」があるのだから、本人の望まない形で、何ものかによって引きずり出されるいわれはない。斎藤医師は次のようにも述べる。

「この手の業者はみんな善意と侠気があって、コミュ力が高く精力的で、なぜか主張までそっくり。『親が死んだらどうする』『自殺したら・・・』『親を殺したら・・・』『家に火をつけたら・・』『犯罪を犯したら・・・』『誰もやらないから自分らが』とかヒーロー気取り」(@pentaxxx

ここで斎藤医師が言う「コミュ力」とは、相手のことを考えずに一方的に押しつける話し方のことで、それを本来の「コミュニケーション力」ではなくスラングである「コミュ力」という略称を利用している。「高いコミュ力には相手の自己主張を押しつける力だけが重要で、『共感力』はまったく不要とのこと」と自身も解説している。

引きこもり当事者には、精神的な病になっている者、障害を持っている者、PTSDなど様々な背景がある。それを理解しないと始まらない。当事者に対し、傾聴して、共感して、受容する、ゆっくりで時間のかかる対応をすべきなのであろう。引きこもりを一律に暴力的に引きずり出すことには、百害あって一理もないというわけだ。

斎藤医師の糾弾は、そのような番組を放送したテレビ朝日だけでなく、日本のテレビ業界全体へ向けられているようだ。

「この種の業者が民放のニュース番組で堂々と放送されて、しかも喝采や共感を呼ぶという珍妙な現象は日本や韓国くらいじゃなかろうか。前も指摘したように、日本の空気が、いかに「関係性の暴力」に寛大であるかはTVタックルが実証してみせた。」(@pentaxxx

一方で、放送内容での行動は、当事者の十分な承諾がないとはいえ、両親の依頼を受けての行動ということで、事態は複雑だ。今回のようなケースで、「放送による人権侵害」としてBPOがどのような判断を下すのかも大いに気になるところだろう。

斎藤医師は今回のBPO審査要請の行動が持つ目的として次のようにも述べる。

「ひきこもりについてうかつな報道をするととてもめんどくさい人間が一人いる、と思ってもらえれば上出来。」(@pentaxxx

今後も、斎藤医師の厳しいチェックは続きそうだ。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。