<テレビドラマはなぜ「カブる」?>無謀と言われたことを鮮烈にやってのけるのがテレビ。テレビドラマはなるべくカブらない方がよい!


藤沢隆[テレビディレクター/プロデューサー]

 

今期(2014年7月期)で内容がモロかぶりなのが、テレビ朝日『ゼロの真実~監察医・松本真央』(木21:00~)とテレビ東京『ラストドクター~監察医アキタの検死報告』(金19:55~)だ。

舞台は監察医務院でテレビ朝日は「関東中央監察医務院」、テレビ東京は「関東監察医務院」。ホンモノは東京都監察医務院。法律で東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市及び神戸市だけに設置義務があるので、関東とかいうのはややヘンではある。

監察医務院は刑事事件に関係のない死因不明遺体の検案や行政解剖が守備範囲で、殺人事件の死因究明などは司法解剖で監察医務院ではなく大学の法医学教室などの担当である。テレビドラマの舞台としては司法解剖施設の方が向いているかと思うのだが、なぜか事件性のない地味な行政解剖施設を選んだのも両ドラマに共通している。

『監察とは人間が受ける最後の医療である』(テレ朝)、『(人間にとって)最後の医者、ラストドクターが監察医である』(テレ東)、とナレーションでの説明もそっくり。

どちらも主人公は変わり者の監察医で周囲を混乱させながら事件を解決するのも同じ。名前が「松本」と「秋田」というのもどこか似ているような・・・。二卵性双生児みたいなドラマを木曜・金曜と続けて視るのもちょっとねぇ・・・。

こういうテレビドラマのネタかぶりはしょっちゅうだ。

救急救命モノ、病院モノ、スーパードクターモノ、警視庁科学捜査班モノ、SITだSATだNPSだNSだなどという警視庁特殊部隊モノなどがよくかぶる。期によってはダブルではなくトリプルでかぶったりもする。

役者さんもかぶる。

香川照之さん、生瀬勝久さん、勝村政信さんあたりがよくかぶる。ある時は単にかぶっているのではなく、役が両方とも警察庁幹部だったりして、そうなると視聴者は少し混乱することさえある。

たとえば『ごちそうさん』の「いけず」で話題のキムラ緑子さんが、もし同時期に人の良いオバさん役でドラマに出ていたらいささか興ざめだろう。

現在BSプレミアムで放送中(火23:15~)のテレビドラマに『おわこんTV』というのがある。このドラマのアヴァンタイトルのナレーション、

『かつて娯楽の王様として揺るぎない地位を獲得したテレビ番組。しかし時代の流れとともにその輝きは失せ、中にはこんな言葉で呼ぶ人もいる。終わったコンテンツ、略して“おわこん”。このドラマはそんな“おわこん”を崖っぷちで支える弱小制作会社・チョコレートテレビで働く人々の物語であーる。』

まだテレビが「おわこん」だとは思わないが、王座死守の努力は必要だから、視聴者が楽しみやすいよう、できるだけかぶらないようにしたらどうだろうか。

そのためには、独自ネタ、ユニークなキャスティングなどへのチャレンジ、また他局の状況をキャッチする情報活動などもがんばって、各局がそれぞれ個性溢れる番組をならべて欲しいものだ。かつて当たった番組ってどれも個性的だったわけだから・・・。

あるキー局の壁に剥がされずに残ったポスターがある。

そのコピーは、

『無謀と言われたことを 鮮烈にやってのける 俺たちがやらずに誰がやる 』

早くやらないと「おわこん」になっちゃうよ。

 

[メディアゴン編集部]なぜ、かぶるのか、それについては当サイトに貴島誠一郎氏の論考があります。あわせてお読みください。

[貴島誠一郎]<テレビドラマ作りは面白くて難しい>今、ドラマ作りで最も難しいのは登場人物の職業選択

 

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藤沢隆

藤沢隆(ふじさわ・たかし) テレビディレクター、プロデューサー。 バラエティ、報道、情報、すべての番組を手がけている。 大手制作会社・元取締役。