脳に負担をかけて「フロー(時間が経過するのを忘れるような状態)」を実現する- 茂木健一郎


茂木健一郎[脳科学者]

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集中して、時間の経つのも忘れ、行為自体が報酬となる「フロー(時間が経過するのを忘れるような状態)」を実現するためには、脳に負荷をかける必要がある。

繰り返し試みて、次第にスキルが上がっていって、スキルと負荷が高いレベルで一致するのがチクセントミハイの言うフローの状態である。

フローの階段を上がっていくには、負荷が必要なのだが、ここで問題になるのがいかに負荷をかけるかだ。負荷が不十分だと脳が退屈してしますし、負荷が過大だと無力感にとらわれたりストレスを感じたりしてしまう。

【参考】脳内To Do Listの活用で「フロー100%」に

目安としては、自分が全力で取り組んで、なんとかクリアできるかできないかくらいのレベルに負荷を置くといい。そのようなレベルの負荷に取り組むことで、フローの状態に自分の脳を導いていくことができるのである。

肝心なのは、自分自身が負荷のレベルを調整するということである。他人からの負荷はストレスに感じやすい。たとえ、他人から負荷を与えられたとしても、それを自分の中で自分自身がかける負荷に変換して実行すると良い。

学校の先生から宿題を出されたり、会社の上司から仕事を与えられた時、その負荷のレベルをコントロールするのが他人だとストレスを感じる。その宿題や仕事を、自分自身の課題に変換してコントロールするようにする。そうすれば、フローに入るために必要な負荷の調整ができる。

逆に言えば、他人に示唆することは良いけれども、負荷のレベルを強制してはいけない。それぞれの人が、自分自身で負荷を調整して、フローの状態で勉強や仕事ができるようにすることが、結果としては良い結果をもたらす。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。