脳内To Do Listの活用で「フロー100%」に[茂木健一郎]
茂木健一郎[脳科学者]
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何かに集中して、時間が経過するのを忘れるような状態を「フロー」という。アメリカの心理学者チクセントミハイの概念である。フローの状態において、人はパフォーマンスが最大になる。行為自体がよろこびになる。
一日のうち、ほとんどの時間がフローになるように生活するのが一つの理想である。そしてそれは可能である。朝起きてから眠る時まで、常に、その時々にやっていること、「今、ここ」に集中して、フロー率をほぼ100%に持っていくのである。
フロー100%にするためには、いくつかのコツがある。一つには、気分転換や行動の切り替えのタイミングを見誤らないこと。煮詰まりそうになったら、さっと切り替えて、歩いたり、他のやらなくてはいけない行動をする。そのようなスイッチングによって、フローを継続していける。
【参考】脳科学者が考える「To Do List」を使うべきではない理由
To Do Listは、どこか外部に書いておくのではなく、心の中に思い描いていることを推奨しているが、そのような脳内To Do Listは、フローを継続する上では役に立つ。常に、実際に行動できる以上の事項を脳内To Do Listに置いておくことで、臨機応変に切り替えるのである。
常に「今、ここ」に集中すること、そして、行為の切り替えをスムーズにそして柔軟に行うこと、常に多くの脳内To Do Listをイメージしておくことで、朝起きてから夜寝るまでのフロー時間を、限りなく100%に近づけることは可能である。
フロー100%への道は、脳内経済政策に似ている。ある時は自由放任に、別な時は敢えて刺激策をとる。また、思いつきで突然予定外のことをやるのも良い。結果としてフローが100%近くになるのは可能だし、そこを目指して生活するのが楽しい。
(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)
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