「第7回ENGEIグランドスラム」全出演者を寸評 – 高橋維新


高橋維新[弁護士/コラムニスト]

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2017年2月25日放映のフジテレビ「第7回 ENGEIグランドスラム」について批評する。

まず、ネタ番組としての総評はいつもと変わらない。

COWCOWのネタの後半には歌詞のテロップが入っていたが、あれはCOWCOW側が言い出したことか、それともスタッフが言い出したことかは分からない。あの手の、「スタッフによるネタをおもしろくするための工夫」をもっと増やしていってほしい。

【参考】「M-1グランプリ」は深夜帯にこっそりやるようなコンテンツだ

それでは以下に、出演者それぞれについて寸評をしたい。

1>銀シャリ

鰻がどんどんうまくなっている。「素でボケている人」をきちんと演じられている。

<2>COWCOW

「うたの鬼ぃさん」というネタである。前半は、フリップのあるあるネタ的なものである。あるあるを、フリップじゃなくてスライドで紹介していた。後半は違う歌だったが、これも一言ネタを歌に乗せて積み重ねていく感じだった。

「もらったおにぎり一塁へ」「借りたCDフリスビー」「高価な壺をダンクシュート」というくだりがあったが、「もらったおにぎり一塁へ」が一番意外性があっておもしろいので、ありふれた後ろの二つを前に持ってきた方が良かったと思った。ただその後今度は物を三塁に投げるくだりもあったので、それとのバランスの兼ね合いも考えないといけない。

<3>バイきんぐ

2人が早押しクイズで対決するネタ。小峠は「運だけで勝ち上がってきた人」という設定だが、決勝の相手の西村もポンコツすぎて、やっぱり運で勝ちそうになるというストーリーである。

ただ、最後は西村が勝って終わる。小峠が結局運で勝って終わりだと予想していたので、裏をかかれたのは確かだが、別におもしろくなかったので、変えた方がいいと思う。別方面で運の良さを発揮する、とかね。

あと小峠はやっぱり、そんなに芝居がうまくないと思う。怒っている芝居は見慣れてきたからまだ「こういうもんか」と思えるようになってきたが、「ヨッシャー」と言って喜ぶ芝居などは見ていて辛い。

<4>ハライチ

「機械化された旅館」というネタであり、岩井がその機械の役(音声による自動案内みたいなもの)をやっているのだが、特に「機械」という設定が活きていなかった。別に「変な女将さん」という設定でもいけるようなことしかしゃべっていなかったので、せっかくなら機械らしさをもっと出してほしい。

あと、岩井は機械役をやっているんだから途中で笑っちゃダメである。澤部のツッコミを見ても冷徹に真顔を貫く必要がある。鰻や塙を見習おう。最後に前半に触れた女将の死体が出てくるのは良い。

5>ジャングルポケット

斉藤のツッコミがちょっとヒステリックだったかな。

<6>ジャルジャル

うろ覚えで歌を歌うデュオのネタ。

充分おもしろかったが、2人の歌がもっと上手かったらさらにおもしろくなるような気もする。ただ、つまらなくなるような気もする。ギターも弾けた方がボケの選択肢は広がるだろう。練習しても、いいんじゃない?

7>タイムマシーン3号

後半に色々生きてくる構成は流石。関も巧い。ただやっぱりカッチリしすぎていて見てて緊張してしまう。もう少し遊びのようなものが欲しい。

8>TKO

非常に、おもしろい。文句ない。

9>チュートリアル

「パンの王様」というミュージカルが始まるネタ。いきなり歌い出すミュージカルのおかしさを皮肉ろうとしたんだろうか。だとしたら、ミュージカルの表面をなぞっただけで皮肉に深みがない感じがした。

10>オードリー

いつものズレ漫才という感じではなく、春日が普通にボケていた。これはこれで。

<11>アンガールズ

やっぱり、二人とも芝居がそんなにうまくない。「ジャンガジャンガ」のネタであればこのヘタクソさを笑ってもらうことになるため、いいのだが、今回のネタは普通に芝居がウマい方がおもしろくなるタイプのネタだと思う。もっと磨こう。

<12>テンダラー

うまいんだよねえ。何で売れないんだろうねえ。

13>品川庄司

台本がカッチリしていて隙がない感じだった。品川ならもっと余裕を持たせることができると思うが、庄司にはできないのかもしれない。

<14>博多華丸・大吉

この人たちは、これでいいと思う。

<15>吉本新喜劇ユニット

新喜劇の色々な場面を見せられたが、一つ一つの場面がぶつ切りである。ヤクザが何かやっている間はお母さんと娘は黙っているし、お母さんとヤクザが乳首ドリルをやっている間は娘が黙っている。せっかくたくさん舞台上にいるんだからもっと自由にやっていいと思う。

<16>ロバート

アスリートのCMにおけるヘタクソさを皮肉ったコント。秋山がアスリート役の山本や馬場に「もっとヘタにやれ」と指導するが、そもそも二人ともそんなにうまくできていないので、成立しているかどうかが危うかった。

<17>ナイツ

塙がいろいろな時事を自分のこととして喋るネタ。時事なので爆笑問題的なネタであり、一小節一小節の間のぶつ切り感が強かったのが残念だった。あと、塙は髪が減っていた感じがした。

<18>南海キャンディーズ

最初に言っておくが、しずちゃんはヘタである。ただそのヘタクソな芝居を真顔でやることで不気味なボケキャラクターとして昇華させている。台本もおそらく山ちゃんが書いていて、しずちゃんはその通りにやっているだけだと思うが、山ちゃんに預けてもっとアドリブで暴れてもいいと思う。

<19>バカリズム

過去に別のネタ番組でやっていたいろは歌のネタである。筆者の提案した改善点は採用されていなかったが、採用を期待する方が間違っている。

<20>千鳥

去年のTHE MANZAIで見せた感じはなくなってしまった。最初の「あらじゃい」でずっと続けることはできたと思うが。

<21>エレ片

ラーメンズ片桐とエレキコミックのユニット。東京03的なしっかり構成が作り込まれたコントだった。ちょっと汚かったけど。「東京03的」って言うと、嫌がられそうだね。

<22>麒麟

おもしろい。

<23>CONTS

河本・フジモン・岩尾・板倉・とろサーモン村田・もう中学生によるユニット。フジモンがツッコミ役で、他はボケである。

しっかりおもしろかったが、フジモンに預けてもっと暴れてもいいと思う。1人がボケている間、他の人が黙っているのはもったいなくて仕方がない。

<24>レイザーラモン

RGが「ナイキ」というフレーズを色々な歌に混ぜて歌うネタ。しっかり裏をかいてくるのでよくできている。

<25>オリエンタルラジオ

ただの歌だった。歌としては個人的には好きだったが。

<26>和牛

水田が変な人をしっかり演じられているが、少し怖くてイライラ来るレベルにまで仕上がってしまっている。もうちょい、コミカルにした方がいい。

<27>東京03

まあ、おもしろい。角田が「サトシ」と何回も言うくだりはもうちょいアドリブで遊んでもいいと思う。アドリブは、入っていたのかもしれないが。

<28>木村祐一

『VOW』的な街中で見かけたおもしろい写真を紹介していくネタ。写真はおもしろいのだが、間に挟む木村の寸劇が完全に写真のおもしろさに負けているのが問題か。

<29>中川家

いつもの中川家。もはや特に言うことなし。

<30>爆笑問題

いつもの爆笑問題。もはや特に言うことなし。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。